哀しいkiss 12 ページ29
太「ねぇ、玉…」
裕「んー?」
視線は床に落としたまま、太輔の目を見ずに答えた
太「彼女、出来た?」
裕「え…」
思わず、顔を上げた
裕「なんで…?」
久しぶりに太輔の目を真っ直ぐに見た気がした
Aの事がバレるとは思ってなかった
ただ、あれこれ聞かれた時、うっかりAに
繋がるような事にならないように…
そう思って、言葉に気をつけ、Aと暮らす前と同じように生活してきたつもりだった
もともと、友達付き合いは少ないし
仕事後、呑みに行ったり、遊びに行くこともない
休みの日も出かけるとしても
気に入った店にふらっと買い物に行くか、
釣りに行くか、真夜中に散歩するぐらい
何一つ生活を変えたつもりはないのに。
裕「なんでそんな事、言うの?」
隠し続けた嘘と、Aの事がバレないように
平然を装って聞いた
太「いや、なんとなく…」
太輔の表情を読み取ろうとするけど、その表情は
いつものように柔和だ
裕「彼女なんていないよ…」
太「……」
裕「何?」
太「いや、」
裕「何だよ、言えよ…」
何か知ってんのか?
太輔の沈黙は、全てを知ってるかのような錯覚を起こす
不安を隠して、強気を装って聞いた
.
.
太「じゃあ、片思いかな?」
裕「…え…」
太「好きな女性は、いるんだろ?」
裕「は?」
.
.
何だよ、その顔
確信持ってる顔…何でだよ
裕「どうしてそんな事言うの?」
何を根拠に…
.
.
太「いや…何かさ…」
裕「何?」
太「……」
裕「言えよ」
.
.
太「…いや、なんかさ…」
太「時々、すげー切なそうな顔してる…」
?
太「そうかと思うと、幸せそうに微笑んだり…」
太「でも、その笑みが…泣いてるように見えたり…」
裕「………」
.
.
太「なんかさ…」
太「昔の自分を見てるみたいなんだ…」
!?
太「Aを好きだった時の自分を見てるみたいなんだ…」
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作者名:トウコ | 作成日時:2019年5月25日 18時