Love Story &yuta (ページ6)

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離れられない指先ページ6

君は知ってたのかな

俺のメンバーカラー

ブリキ缶を麻布で、ラッピングして
ゆったり寄せたギャザーに、黄色いリボン

「こちらが、育て方です。
基本全然、手はかかりませんけど…
愛情だけはかけてあげてくださいね、笑」

そう言って渡されたお店のロゴが入った
茶色い紙

「彼女、この売り場の責任者なんですよ
多肉植物の事は、僕より詳しいんで…」

やっと戻ってきた店長は、そう俺に言い
撤収して次の店への移動の準備をしてるスタッフに
挨拶に行った

「ありがとうございました、大切に育ててくださいね…」

まだ、少し離れた所にいるアシスタントの女の子を
気にしながら、Aちゃんが言った

「癒しになると嬉しいです」

彼女がロゴ入りの紙袋に入った多肉植物を
差し出す

裕「ありがとう…」

わざと俺は、その白い指先に自分の指を重ねた

その瞬間、誰も俺たちを見てないと
わかっていたから

「裕君！」

小さな声

俺を呼ぶ声

あの頃と同じように…裕君、って

裕「また、来ていいかな…」

「…え、」

裕「このコのお友達を探しに…笑」

「あ、」

安心したように解れた笑み

「勿論です、玉森さん」

それでも

重ねた指はそのまま

解こうとする君の笑みが強張っていく

「あの、玉森…さん、」

誰かに気付かれるかも知れない

そう思うのにできないんだ

.

.

離さない

離したくない

そう、細胞レベルで思う自分がここにいる