震える細胞 ページ5
「いくつか寄せ植えしますか?」
あの頃と同じように、Aちゃんが
俺の顔を覗き込んだ
ー今日、昼休み何して遊ぶ?
そう聞いた時みたいに
裕「あ、」
君を見て、いちいち思考があの頃に飛んでしまう
俺より先に、アシスタントの女の子が返事をした
「いいですねぇ」
「今、流行ってますもんね、多肉植物♪」
「玉森さん、どれがいいですか?」
いつも、裕君!裕君!って呼んでた君に
"玉森さん"なんて呼ばれて息が止まりそうになる
なんなんだ、この心臓のバクバク感は。
真っ直ぐ、Aちゃんを見る事も出来ずにいる
俺に、彼女が優しく問いかける
裕「えと…」
そうだ
あの頃もそうだった
俺は、彼女に聞かれても、すぐに返事が出来なくて
いつも周りの男子の言いなりだった
でも…
そんな俺を君だけは、待っててくれた
「ゆっくり選んでくださって大丈夫ですよ…」
「可愛いコばかりですから、悩みますよね…」
あの頃とは違う白くて長い指が
小さなポットに植えられた植物達を愛でる
裕「あの…」
「…?」
裕「相性とかありますか?」
「…相性…?」
裕「だってほら、同じ入れ物で育つ訳だし…
言ったらほら、恋人同士っていうか、同棲って
言うか、だから…相性…」
「…あ!そうですよね…
映画もミステリーでもあり、ラブストーリーでも
ありますよね!!」
そう言って会話に入って来たのは
アシスタントの女の子だった
撮影時間が押してる
早く、買い物を終えて欲しい、ってトコか
裕「じゃあ、お任せします!Aさんに」
「…えっ、」
裕「俺、相性とか分かんないし…
だから、お任せします!仲良く暮らしていける
ように、寄せ植えお願いします!」
ほら、あの頃だって
優柔不断な俺を助けてくれたよね?
サッカーにする?
ドッチボールにする?
なかなか決められない俺を…君だけが助けてくれた
だから…
.
.
.
「分かりました、では…」
「小熊のお手てと相性のいいコ、いくつか選んで
寄せ植えさせて頂きます」
.
.
ふわっと笑って
少しだけ目尻に皺が寄ってタレ目になる君
あの頃とちっとも変わらない…
そんな君を見た時、俺は……
頭でもなく
心でもなく
身体中の全ての細胞が、震えた気がした
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作者名:トウコ | 作成日時:2019年5月12日 16時