翡翠の涙。瑠璃の笑み。〈俺の彼女 お話集40〉

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太輔side




この部屋にAが来てくれる日を

ずっと夢見てた







広いー



綺麗ー



素敵…



そう言ってAが、笑うのを夢見てた…






それなのに…


部屋に入った君は…無言だった





玉の部屋から、車に横たわり

そして…ここまで走って…

俺におんぶされて、この部屋へ…




その間、一度も目を覚まさず

ずっと…眠ったままだった…





それは…あまりにも不自然で不思議で

あり得ない事だった…







玉と同じように大きな

キングサイズのベッドにAを下ろす






目を覚まさないのは…心配だったけど

今は…ただ…

ゆっくり身体と心を休めて欲しい



全てを忘れて…



ぐっすり…眠って欲しい





そして



起きたら…

一緒に美味しい物を食べよう…



二人肩を寄り添って

嫌な事は忘れて…


楽しいTVでも観て…二人で笑って…


美味しい物、食べよう…







…








…







ベッドに横たわるAの乱れた髪を

右手の指先ですく…






辛かったね…A…




苦しかったね…




守ってやれなくて…ごめん…





君をこんな目に遭わせて

本当に…すまない…






ごめん…A




涙で、Aの顔が歪む…








ポタ…







ポタ…ポタ…






溢れた涙が…



Aの手を握りしめた左手に落ちた






雫が…

白い指先に滑り落ちる








…







…







「…ん…」








「……ッ…」








「…ん」




ゆっくり瞬きを繰り返す瞼




もしかして…目が覚めた？


気づいた？







「…ん…」








A？







「ここは…どこ？」







横たわったまま

部屋を見回すA…







太「俺ん家だよ…」






太「俺のマンションだよ…」





もう…大丈夫だよ


俺が、側にいるから…

ずっと側にいるから…




もう…大丈夫…安心して…








「俺の…マンション？」







太「そう…」

思わず…笑みがこぼれる



やっと…Aと一緒に暮らせる日が来た






太「これからは…ずっと…一緒だよ…」







…







…






「ずっと…一緒？」






太「そうだよ…」






「誰と…？」







太「俺とに決まってるだろ？」







「俺…と？」






…？


何？




なんだか…様子がおかしい




ずっと…

虚ろな目…







「あの…」





「どうして…私はここにいるんですか？」




何で…敬語？






「貴方は…」






「誰…ですか？」

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