翡翠の涙。瑠璃の笑み。〈俺の彼女 お話集40〉

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彼女side


化粧…しなきゃ


こんな顔じゃ…


太ちゃんに逢えない…







急がなきゃ…





早く…




早く…




簡単なメイクと…

スマホとお財布を持って…部屋のドアを開けた









…！





！！






「どう….して…」





…





…






…







エレベーターの前の壁に

もたれかかるように立ってる裕太





「裕…太…？」






…






…







裕「んー」






…






…







裕「忘れ物…」









「忘れ物…？」




でも


もう…部屋を出てから随分経つ






いつ、帰って来たの？

今？




それとも…









「何を、忘れたの？」







裕「スマホ…」


イタズラっぽく、笑った裕太









スマホ？


スマホ…は


出る時…確かに手に持ってた…





確かに…持って出た







「どういう事？」







裕「忘れ物は…これ…」






…？







裕太？





裕「これ…」






私の鞄に手を伸ばして

あっという間に何かを取り出した裕太







それ…って






私の…スマホ…







裕「忘れてた…」






「裕太？」





裕「取り上げるの…笑」






「どういう事？」




裕「だって、いらないでしょ？

ずっと家にいるんだから…」






裕「誰とも連絡取らなくていいでしょ？」





「でも…」






裕「それにほら…」




裕「約束破ってるし…」




「…！」






裕「今日は出掛けちゃダメって言ったでしょ？」





裕「ね？」



トン

胸を突いた裕太の拳





裕「約束したよね？」



トン

さっきより強く突き飛ばすように

当たった拳






裕「部屋…入って…」




「裕太…仕事は？」






裕「ふふ…今日は午後から…」





…？


それって

私を騙したってこと？




仕事に行くふりして

私が出掛けないか見張ってた、ってこと？






…






…







裕「嘘には、嘘で返さなきゃ」





…






…






裕「スマホ…」


裕「見てもいいんだよ…」





…？




裕「その指…借りて…ロック外そうかな…」






…






…





そんな事したら

太ちゃんとの事が全部ばれてしまう






裕「とにかく…中に入れ」






裕「話はそれから…」





裕「お仕…置きも….それから…」








…







…







裕「だから…」




裕「待ち合わせにはいけないよ…」







裕「笑…」

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