翡翠の涙。瑠璃の笑み。〈俺の彼女 お話集40〉

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太輔side


「太ちゃん….」





泣き出したのは…Aの方だった







「ごめんなさい…」





そっか…


そうだよな…






電話に出た時から、こう言い出すんじゃないか

そう思ってた






帰りたい、って…





でも、絶対ダメ…

絶対、帰さない…って思ってたのに




やっぱり…






「お願い…太ちゃん….」





「裕太が…」






玉が、取り乱してたの？

そんな事…ここに来る前から予想してたよ


玉の事だから…

取り乱して…こんな風に電話してくる…って





でも…

帰さないつもりだった…絶対






だったのに…







ダメだ…





Aのその顔みたら…無理だった





大好きな君が…困ってる顔….






…





…






太「わかったよ…A…」







太「送ってく…」






…






…






「……太ちゃん….」







太「帰ろ…」







太「今日は…」



それが、せめてもの抵抗だった


俺たちは、これで終わりじゃない…

これから…なんだ、って





これから…一からやり直すんだ…って







太「そうだよね？」








太「俺たち…やり直すんだ」






「……」







太「そうだろ？」






「……」


電話をかけて来た玉のせいで、

動揺してるのが手に取るように分かった





でも…

繋いだ手はもう二度と離さない







太「また、逢えるよね？」





「……」





太「逢えるよね？」






「……太ちゃん….」






太「約束して？
してくれないなら帰せない…」






「……」






太「帰さないよ…」







「……」








太「俺たちは愛し合ってる…だろ？」







「……」






太「Aの好きなのは、俺だろ？」






「…太ちゃん….」








太「そうだよね？」








「……」







太「はい、は？」




太「返事して、A…」






「……」








太「A？」






…







…









「太ちゃんが、好き….大好きだよ…」




「もっと…太ちゃんといたかった」






「太ちゃんに愛されたかった…」






「でも…今は…」






玉が…心配…





太「いいよ、それで充分…」



"俺が好き…"

その言葉だけで…十分…







太「A…」


あとは…もう一度キスして…


約束のキス



また、必ず俺んとこに戻って来るって

約束のキス





キスをしよ…？

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