遠くない未来まで ページ39
どれくらいそうしていただろうか。
おそらくそんなに長い時間ではないはずだ。
ひとしきりそうしていると、腰に回っていた彼の手が
スススっと私のお尻へと伸ばされ撫で始めた。
「やわらか」
そこで私のゲンコツが彼の頭に直撃し、穏やかなこの時間は終わりを告げた。
「なにするのよスティング！！」
自分でもわかるくらい頬が熱い。
(い、いいいいい今！お尻撫でたわよね！？)
「ははっ！ごめんて！柔らかいAの胸に抱かれてたらつい、ね」
そう言って彼は笑った。
ようやくいつものスティングに戻ったようだ。
「せっかく人が…！」
湧き上がる羞恥にプルプルと腕が震える。
「まあ、まあ、減るもんじゃないし！
今度は前の方もじっくり…」
_____ゴンッ
「ってぇー…」
両手をわきわきとさせたところで菊一文字が振り下ろされた。
((小僧！黙ってりゃいい気になりやがって！
調子に乗んじゃねぇぞ！！))
そう言った菊一文字を天羽々斬が宥める。
(まあまあ、菊一文字。久しぶりなんだからいいじゃない))
「ちょっと天羽々斬まで！
全然よくなーーーい！！」
そんな私たちのやり取りを何処か懐かしそうに見るスティング。
「おまえらも変わってねぇな。
ま、今回は菊一文字に邪魔されたけど次はどうかな？」
なんて言って笑ってる彼をもう一度殴ってやろうかと思った。
「それより、帰ろうぜ！
早くしないとバトルパートが終わっちまう」
そう言って伸ばされた彼の手を渋々取ってドムス・フラウまで帰った。
会場について手を離すと彼が名残惜しいと言うようにこちらを見て来た。
「A、ありがとうな。すげー嬉しかった。
仲間ってのがどんなもんなのか俺にはまだよくわかんねぇけど、
俺もレクターやローグ、フロッシュ、それからおまえに頼ってもらえなかったら寂しい。
それだけはなんとなく分かった。
でも、Aの俺に対しての想いと俺のおまえに対しての想いは今は違う。」
その言葉の意味が私にはいまいち良く分からず首を傾げる。
(大切に想う事の違いってなんなのよ？)
そんな私を見て彼はまた、少し寂しそうに笑った。
「まあ、でも『今は』だからな！
絶対俺と同じにしてみせるから！遠くない未来までに！
それから、あの約束、忘れんなよ？
俺らが勝ったら奪いに行くってやつ！」
それだけ言って彼は自分たちの待機席へと戻って行った。
最後に見せた彼の顔は晴れ晴れとした私の大好きな笑顔だった。
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秘穏(プロフ) - とても面白いです！スティングの心情がなんか可愛らしくて、ついつい見守っている気分になります笑 あと隠密の回ですが、ラミアスケールだけ片仮名でしたが、漢字だと、「蛇姫の鱗」と書きます。 (2019年9月23日 11時) (
レス) id: 3c447ef1a9 (このIDを非表示/違反報告)
Da.Li(プロフ) - 大好きです。また更新してほしいです…気長に待ってます！ (2018年12月20日 19時) (レス) id: 9339fc5d80 (このIDを非表示/違反報告)
ZIN - 更新されてる!!楽しみに待ってます!! (2018年6月3日 21時) (レス) id: af655f0d36 (このIDを非表示/違反報告)
Pinky* - すっごいおもしろいです！！これからも頑張って下さい(*^O^*) (2018年1月15日 17時) (レス) id: e284ecfae9 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - あんずさん» わあああ(T_T)最近更新が滞っていたのですがそんなコメントいただけてとても嬉しいです（；＿；）プライベートが落ち着いたらまた更新しますのでもう少しお待ちください(T_T) (2015年12月31日 19時) (レス) id: 6c22e6ae36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あーちゃん | 作成日時：2015年8月28日 8時
