お兄ちゃんに溺愛されちゃうお話【竈門炭治郎】

執着度 肆拾 ページ41

『ああ...どうしよう...』

Aが、あの廃教室で独り言を言っていると、

背後から誰かが話しかけてきた。


「どうしたの？」

『うわぁ！あ...カナヲ先輩...。』

「何かあった？」

『あー...何もないといえば嘘になりますね...。』


そのあとAは言葉を濁そうとしたが、

胃がいくつあっても足りないような圧に負け、

今までの出来事を洗いざらい話していった。


「そうだったの...」


カナヲ先輩は窓の方を見ると、少し目を見開いたあと、

普段の、花のような可憐な顔に戻った。


『カナヲ先輩...？どうかしましたか...？カ、カナヲ先輩〜？』

「ごめん、何でもない。」



..


そして少しの間、談笑をしていた二人だったが、

完全下校のチャイムがなり、最後にカナヲがAに、

こんな質問を投げかけた。


「(こういうのは自分で気づくべきかもしれないけど...)

最後に聞くけど、Aは炭治郎のこと、好きなの？」

『え....？今なんて...』

もう一度、Aが聞き返そうとすると、廊下から声が聞こえてきた。

「A!」


『あれ、この声...』

「...そろそろ時間かしら...じゃあ、私は帰るから、頑張ってね。」


と、カナヲが立ち上がった瞬間、教室の扉が開き、

そこには息を切らした炭治郎が立っていた。



『お、お兄ちゃん...！？』

「A！やっぱり、ここにいたのか...」

『や、やっぱりって...』

「カナヲにすこし協力してもらってな...」


ぱっとカナヲがいるはずの席を見たが、

いつの間にか扉の向こうにいるカナヲに

助けを求めたが、ニコニコと返されるだけだった。


そして、炭治郎が近づいて来たため、再度助けを求めようとしたが、

もうそこには花のような香りの残り香だけが漂っていた。

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竈門 炭治郎

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