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堪えられない何かが胸の奥で震えていて、その振動で声が揺れてしまわないようにと力を込めたからかもしれない。
「ごめん、貴女には関係ないですから…放っておいて…」
頭にかぶせられたタオルに片手を置いて顔を上げると、櫻井さんは頭に触れたままの私の手を手首を掴んで優しく引きはがした。
眉を下げて困ったような顔をする。
どうして、そんな顔をしているの。
そんなに優しく、関係ないなんて言うのだろう。
私が抵抗をしないと分かると櫻井さんは手を離して、タオルを手に取ってゆらゆらと脱衣所の方に歩き出す。
一歩ずつ離れていく櫻井さんの手首を、私はとっさに掴んでいた。
「雛田さん？」
「……放っておけません」
「……離してください、貴女までぬれてしまします」
「構いません」
ぎゅっと櫻井さんの手首を握りしめる。
雨にぬれて冷え切っていただろう手首は温度を上げた暖房のおかげかだいぶ温まってきている。
人の肌のぬくもりを手のひらで感じながら、冷えたその身体に少しでも熱を分けられたらいいと私は掴む手に力を込める。
「雛田さん」
困ったように、櫻井さんがまた私の名前を呼んだ。
何を伝えるべきか言葉を考えるより先に櫻井さんを引き留めてしまった私は言葉を探して息を吸い込む。
「その……私は、櫻井さんが風邪をひいたら心配します」
櫻井さんの手が掴んだままのタオルを私は空いてる手で取り上げる。
それから、櫻井さんに見えるように目の前に掲げて見せた。
淡いピンク色のタオルは、会社の景品らしくロゴが印字されている。
そんなタオルを手に、私は暗い影を落としたまま困り顔で笑う櫻井さんの顔を見上げた。
「だから、ぬれたら何度でも拭きますから。櫻井さんが嫌がっても」
「！」
目を見開く櫻井さんの頭にタオルをかける。
背伸びをして両手で髪を拭いて、すぐそばにあるぬれた頬をタオルの端で拭った。
「拭かないと風邪ひきますよ」
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iCHiKA(プロフ) - shiさん» この度もありがとうございます！二人の距離もやっと変わり始める…といったところですので、お楽しみいただけたら嬉しいです。 (2021年2月28日 22時) (
レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
shi(プロフ) - こんばんは！！翔さん何かありましたね( .. )この後の主人公と翔さんの行方楽しみにしています！！ (2021年2月26日 22時) (レス) id: 4f699932a6 (このIDを非表示/違反報告)
iCHiKA(プロフ) - shiさん» コメントありがとうございます！驚いてもらえたなら嬉しいです。雨にぬれたSさん想像しながらぜひ続き読んでくださいませ。楽しんでもらえたら光栄です。 (2021年2月24日 20時) (レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
shi(プロフ) - おはようございます！！まさかの帰ってきたにドキドキです！！次回も楽しみにしています(^^) (2021年2月23日 8時) (レス) id: 4f699932a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2021年1月24日 14時
