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フライ返しを差し込んでハンバーグをひっくり返す。
と、櫻井さんが小さく歓声を上げた。
「お、すげぇ！うまいですね雛田さん」
「そうですか…？料理してれば誰でもこのくらいは…」
「いや、スキルゼロの俺からすると綺麗にひっくり返せるのすごい尊敬します」
キラキラした目で言いながら櫻井さんはハンバーグを見ていた。
子供みたいに純粋で、だけど櫻井さんは子供ではないから。
その言葉は私の鼓膜ごと心を強く揺さぶる。
「でも、櫻井さんも焼き野菜作れたじゃないですか。きっとハンバーグだってひっくり返せますよ」
「いやぁどうでしょう……俺自他ともに認める超不器用男なんで電子レンジのボタン押すくらいが限界かもしれないですけど」
冗談なのか本気なのか、渋い顔で笑った櫻井さんは大きく深呼吸をする。
「あ、でも、雛田さんが教えてくれるなら挑戦してみてもいいかもしれませんね」
「！」
「そっか、今度料理教えてもらうのもありですかね」
「……そう、ですね」
ほらまた、無邪気にそんなことを言う人は初めてで。
私はどうしたらいいのかわからない。
お世辞だと分かっていても、褒めてもらえることは嬉しい。
私は、私のためだけにこの仕事をしている。
だけど、その仕事で誰かに喜んでもらえているのだと勘違いしてしまいそうになから。
櫻井さんの笑顔を見るたびに、胸の奥が締め付けられる。
何の痛みかなんてことは、今はまだわかりきっていることだった。
罪悪感。
純粋な櫻井さんの言葉に反する、邪な私の望み。
「はあ…」
私が吐いたため息はハンバーグに回しかけた白ワインのジュッという美味しそうな音に上手くかき消えてくれた。
音ごと閉じ込めるように蓋をする。
「そろそろハンバーグが焼けますよ。チーズは多めがいいですか？」
「ぜひ多めでお願いします」
「わかりました」
笑顔で返事をしてチーズを用意する。
うん、これでいい。
あくまで家政婦としてちゃんと仕事をして、これ以上踏み込むことなんてないんだから。
雇用主と労働者。
それ以上でも、以下でもないの。
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iCHiKA(プロフ) - shiさん» この度もありがとうございます！二人の距離もやっと変わり始める…といったところですので、お楽しみいただけたら嬉しいです。 (2021年2月28日 22時) (
レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
shi(プロフ) - こんばんは！！翔さん何かありましたね( .. )この後の主人公と翔さんの行方楽しみにしています！！ (2021年2月26日 22時) (レス) id: 4f699932a6 (このIDを非表示/違反報告)
iCHiKA(プロフ) - shiさん» コメントありがとうございます！驚いてもらえたなら嬉しいです。雨にぬれたSさん想像しながらぜひ続き読んでくださいませ。楽しんでもらえたら光栄です。 (2021年2月24日 20時) (レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
shi(プロフ) - おはようございます！！まさかの帰ってきたにドキドキです！！次回も楽しみにしています(^^) (2021年2月23日 8時) (レス) id: 4f699932a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2021年1月24日 14時
