悪夢は君といる未来 ページ11
こんな夢を見た。
大好きな家族と囲む食卓。
そこには何故か彼が居て、私と彼とよく似た子供が笑っていた。
そこで、目が覚めた。寝起きは最悪。
だってそれは、一生叶わない夢だけの世界だったから。
「行ってきますアル」
もちろん、返事は返ってこない。
今日も、一人だ。
家を出てよく吠える犬のジョンに挨拶をして、田舎の綺麗な空気を思う存分吸うと、あの駅へと向かう。
「おはようございます、神楽ちゃん!」
「はよ」
「おはようアル!そよちゃん、姉御、トシ、ゴリ!」
神楽たちは近藤や土方と会う時はいつも一緒に学校に行っていた。いつも通りの時間につくともう妙もそよもみんなとっくに着いていた。
「あと一人か……」
遠くを眺めていると派手なTシャツの上に学ランを羽織った麻色の髪の男がノロノロとやって来た。
「おはようごぜぇやす」
遅れてやってきた沖田は眠そうにあくびをして挨拶をした。
「遅れてきたらまず、ゴメンって言うのが礼儀アル」
「へいへい」
そんな適当な返事も神楽には全て一つひとつが大切なものだった。
いつもの四両目に乗ってノロノロと進む電車に身を委ねる。
三駅を跨ぎ、ようやく駅に着く。
田んぼ沿いの道を談笑しながら歩き、電線に張っている蜘蛛の巣を数える。この坂を越えると銀魂高校だ。
隣を歩く彼女は笑顔で友人たちと会話する。
しかし、その笑顔には悲しみが滲んでいた。
一体どうしたというのだろうか。
学校から鳴り響くチャイムで一旦思考は停止した。
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作者名:なちょ | 作成日時:2018年10月15日 21時