049 私だけが取り残されて。 ページ49
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時間だけは絶えず進み続ける。
貴方の居ない世界でも私は生き続けられるのだと気付いた時、少しだけ驚いた。
人の噂とは不思議な物で、何処から生まれたのかも分からないものが余りにも速く人から人へと伝わっていく。
それは私と泉の関係もまた然り、だった。
だけど結局他人は他人。
周りの物事への変化などあっという間に興味は失せるもので、
時間とともに流れていくその事実を私だけがずっと心に残していた。
あれから泉とは話す事もなく、
同じクラスだというのに目を合わせる事もなく、
私達は背中合わせに笑っていた。
「A〜」
教室の入り口で私の名前を気だるげに呼ぶその声に私は笑顔を浮かべる。
「どうしたの、凛月」
「どうするのか、もう決めたかなって思って」
凛月の細められた赤い瞳に喉がひゅっと鳴った。
凛月の言葉は“このままKnightsのプロデューサーを続けるのかどうか”という事を意味していた。
「……嵐くんもKnightsに入ってくれて、レオだってまだ戻って来なくて……
Knightsはこれから頑張り時なんだし、今がプロデューサーの腕の見せ所でしょ?」
私は笑った。
笑ったのに、凛月の顔は少しだけ曇っていた。
いつもなら同じ様に笑ってくれるのに。
そっと凛月の手が私の頭の後ろに伸ばされて、そっと凛月が私の肩に自身の額を乗せる。
「……俺達があんたの枷になってまだ苦しめ続けてるのかもねぇ」
凛月が小さく呟いて、その度に小さく息が首元に触れて擽ったい。
「え、何?」
小さな声は私の耳には届かなくて、大きな子供の様に甘える凛月の背中をトントンと軽く叩く。
「……何でもない、王さまを連れ戻してくれるんでしょ
期待してるからね、プロデューサー」
顔を上げた凛月は笑っていて、その笑顔はいつもと変わらなかった。
「待ってて、やっぱりKnightsの玉座はレオの居場所だからね」
私の言葉に目を細めて優しい目をした凛月が背を向ける。
私よりずっと大きな背中。
その背中に私は声を掛ける。
「凛月、ちゃんと授業は受けなよ」
「……なんかAお母さんみたい」
ふふ、と笑ってさっさと去ってしまう凛月の言葉に胸の奥が小さく傷んだ気がした。
私は笑った。
笑えているのに。
偶に感じるこの虚無感は何だろう。
心にぽっかりと穴が開いたように
時々貴方を求めてしまう私は都合の良い人間なのだろう。
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とまと。(プロフ) - はるなさん» そう言って頂ける方と出会う事が出来、感無量です…!私には勿体無い言葉の数々を有難うございます、最後までお付き合いして頂けると嬉しいです。 (2017年5月9日 22時) (
レス) id: 5b7907730c (このIDを非表示/違反報告)
とまと。(プロフ) - 聖泉さん» そんな嬉しい言葉を掛けて頂いたのは初めてです…!最後まで感動して頂けるように頑張ります。 (2017年5月9日 22時) (レス) id: 5b7907730c (このIDを非表示/違反報告)
はるな(プロフ) - この物語、本当に好きです！このお話と出会えて良かった！続き楽しみにしています。頑張ってください!! (2017年5月8日 23時) (レス) id: 651f5172c0 (このIDを非表示/違反報告)
聖泉 - とまと。さん» 感動しました。このお話を読んでいてよかったです(^^) (2017年5月7日 23時) (レス) id: b0c24886c2 (このIDを非表示/違反報告)
とまと。(プロフ) - 聖泉さん» まだまだ完結まで時間の掛かる2人ですがゆっくり温かい目で見てあげてください…!応援有難うございます(*^^*) (2017年4月15日 14時) (レス) id: efe978ed57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えはら | 作成日時：2016年12月7日 19時
