017 私が守るよ。 ページ17
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凛月と2人、開け放たれたままの扉を見つめる。
扉の向こうに伸びる廊下は薄暗くて、扉が小さくキィキィと鳴いていた。
「……練習、しよっか」
そっと、開いたままの扉を閉めながら呟く。
「……追いかけなくていいの?」
背中越しに凛月からそんな言葉が返ってくる。
顔は見えないけれど、見なくても分かる。
きっと凛月は驚いた顔をしてるんだろうな。
……私だって今すぐ追いかけてあげたい。
それで瀬名が笑えるなら、私だって今すぐ走って瀬名の元に行きたいよ。
……だけどね。
「……私が今出来ることはそれじゃないから。
私が今しなきゃいけない事をしないと、
また瀬名に負担かけちゃうし」
くるりと振り返りながら凛月に視線を向ける。
凛月は口を開いて何か言おうとしていたけれど、私はそれから耳を背ける様に言葉を重ねた。
「さー!レッスンするよー!
久しぶりだけど厳しくいくよ!」
ぐんっ、と伸びをしながら凛月の前を素早くすり抜ける。
凛月は言葉にするのを諦めた様な表情で苦笑を浮かべていた。
「……」
ごめんね、凛月。
欠けていくこの場所を守ってあげられなくて。
必ず私がまた此処に2人を連れてくるから。
今はまだ力不足だけど。
だけど必ず、もう1度あの時間を――。
久しぶりの練習が終わり、何となく感じた。
久しぶりのレッスンの筈なのに、凛月のパフォーマンスは衰えていなかった。
寧ろ、前より上手くなってる……?
そこではっと気付いた。
『レオは還ってこない』なんて言うけれど、凛月も本当はレオが還ってくる事を信じて待ってる。
瀬名に負けない様にこの場所を守ろうとしてる。
凛月もまだ、戦ってるんだ。
そう気付いて、私は更に自分の無力さを痛感した。
何も持ってない私が今やれる事。
私が今すべき事って、瀬名と凛月の力になれる事って何だろう。
部屋の隅に置かれた真っ白な五線譜が視界に入った。
ここから、Knightsは始まったんだよね。
小さな王国だったけれど、3人で紡いだ音は少しずつ大きくなって。
そっと紙に手を触れてみる。
楽しそうに笑う3人の姿が脳裏に浮かんだ。
……待ってて、瀬名。
貴方の愛した
私は手早く荷物をまとめて凛月にとある事を尋ねた。
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とまと。(プロフ) - はるなさん» そう言って頂ける方と出会う事が出来、感無量です…!私には勿体無い言葉の数々を有難うございます、最後までお付き合いして頂けると嬉しいです。 (2017年5月9日 22時) (レス) id: 5b7907730c (このIDを非表示/違反報告)
とまと。(プロフ) - 聖泉さん» そんな嬉しい言葉を掛けて頂いたのは初めてです…!最後まで感動して頂けるように頑張ります。 (2017年5月9日 22時) (レス) id: 5b7907730c (このIDを非表示/違反報告)
はるな(プロフ) - この物語、本当に好きです!このお話と出会えて良かった!続き楽しみにしています。頑張ってください!! (2017年5月8日 23時) (レス) id: 651f5172c0 (このIDを非表示/違反報告)
聖泉 - とまと。さん» 感動しました。このお話を読んでいてよかったです(^^) (2017年5月7日 23時) (レス) id: b0c24886c2 (このIDを非表示/違反報告)
とまと。(プロフ) - 聖泉さん» まだまだ完結まで時間の掛かる2人ですがゆっくり温かい目で見てあげてください…!応援有難うございます(*^^*) (2017年4月15日 14時) (レス) id: efe978ed57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えはら | 作成日時:2016年12月7日 19時