001 夢の終わり。 ページ1
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――こんなに苦しい恋をするのは、
後にも先にもこれっきりで良い。
今校内で小さな噂が生まれている。
その噂は耳を塞いでも塞いでも私の中に無遠慮に入ってきては
私を引っ掻き回す。
どうしても気持ちを落ち着けたくて、1人になりたくて屋上庭園にやって来たけど、
丁度良かったのかもしれない。
少し冷たい風が私の肌を撫でる度に
私の中で縺れ合った思考を緩やかに解いてくれた。
｢……A｣
大きく深呼吸をしていると後ろから控えめに声が掛かる。
いつもそんな遠慮しない癖に。
こういう時はちゃんと気遣ってくれるの、何だか腹立つなぁ。
｢……どうしたの、凛月｣
振り向く時にまた風が凪いで、
私の髪をなびかせた。
“どうしたの”、何て
本当は凛月が此処に来た時点で内容が分かってる癖に。
まだ微かな希望に縋るなんて、
私、ここまで未練がましかったっけ?
……後悔も、希望も、全部あの日、あの場所に置いてきたはずなのに。
｢……セッちゃんね｣
言ってもいいのか、そんな風に重く口を開いた凛月から零れたのはその言葉。
あぁ、やっぱりか。
耳を塞いでしまいたい。
だけどこれは私自身への戒めでもあるんだ。
そう思い目をそっと伏せながら、
風の音に聞きこぼしてしまわぬよう、
最後の言葉まで耳を澄ます。
｢……あんずと、付き合ってるんだって｣
小さくか細い声で伝えられた事実は、
最初から予期していた通りのもので。
それなのにどうしてか簡単に私の中に収まってはくれなかった。
｢……そっ、か
おめでとう、って、泉……『瀬名』に伝えておいて｣
どうにか絞り出せたのはそれだけだった。
あぁ、泣きそう。
心臓が鷲掴みされたみたいに苦しい。
いつかはこんな日が来るんだって分かってた癖に。
じわりと歪み出す視界をぐっと堪える。
こんな事で泣きたくない。
泉の名前を昔みたいに『瀬名』と呼んだのは
私なりの最後のけじめみたいなもの。
このまま泉と呼び続けたらきっと心がまた揺らいでしまう。
……瀬名、貴方の『幸せ』はきっと“それ”だったんだね。
私の『幸せ』は貴方が『幸せ』だと思う事だから。
どうか、笑っていてね。
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とまと。(プロフ) - はるなさん» そう言って頂ける方と出会う事が出来、感無量です…!私には勿体無い言葉の数々を有難うございます、最後までお付き合いして頂けると嬉しいです。 (2017年5月9日 22時) (
レス) id: 5b7907730c (このIDを非表示/違反報告)
とまと。(プロフ) - 聖泉さん» そんな嬉しい言葉を掛けて頂いたのは初めてです…!最後まで感動して頂けるように頑張ります。 (2017年5月9日 22時) (レス) id: 5b7907730c (このIDを非表示/違反報告)
はるな(プロフ) - この物語、本当に好きです！このお話と出会えて良かった！続き楽しみにしています。頑張ってください!! (2017年5月8日 23時) (レス) id: 651f5172c0 (このIDを非表示/違反報告)
聖泉 - とまと。さん» 感動しました。このお話を読んでいてよかったです(^^) (2017年5月7日 23時) (レス) id: b0c24886c2 (このIDを非表示/違反報告)
とまと。(プロフ) - 聖泉さん» まだまだ完結まで時間の掛かる2人ですがゆっくり温かい目で見てあげてください…!応援有難うございます(*^^*) (2017年4月15日 14時) (レス) id: efe978ed57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えはら | 作成日時：2016年12月7日 19時
