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不機嫌になっていく中原君に、あれやりたい!と指を差したのは子供でも楽しめるキャラクターのレーシングゲーム。
実際にハンドルを握って操作したり、アクセルを踏む事で乗り物が走る。
コースを3周して一番に戻ってきたら勝ち。
「負けた方がお昼奢りね!」
「いや、お前に払わすつもりは、」
「そういうの大丈夫だから!」
お金を入れて中原君を椅子に座らせた。
私も隣に座って画面に向き合う。
……、誤魔化せたかな。
なんて思ってちらりと横目に彼を見るけど中原君の口は尖っていて不機嫌丸出しな表情に誤魔化せていない事だけは分かった。
兎に角、今はゲームに集中。
真剣勝負だからねと云えば、分かってると返ってくる。
そしていざ尋常に勝負。
「あっ、ちょ、やだ!」
「…。」
「そんな、とこバナナ…あっ!」
「……。」
「だめっ、や、なんか出てる…ッ!」
「ダーーーッ!!集中出来るかァッ!!!」
椅子から下りた中原君は、俺の負けでいい!等と云って私の腕を引いてゲームセンターを出る。
「なっ、中原君!如何したの…!」
「……。」
彼の足が止まると私の足も止まる。
私、何かやらかしてしまっただろうか…。
「あの、ごめんなさ、」
「謝るな!」
「え…?」
「俺がっ…、煩悩だらけなだけだ…ッ。」
「煩悩…?」
「っ、皆まで云わすな!!」
煩悩…。
「っ…。」
改めて煩悩という言葉の意味を思い浮かべたのだけど、何故、彼がそういった、よ…、邪な思いを持ったのか私には分からない。
ごほんと咳払いして、赤くなった顔でお昼は何が食べたいかと訊かれる。
私は小さく、オムライスとだけ答えた。
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陽奈(プロフ) - やばいやばいやばいやばいです!!!!中原幹部も橘ちゃんも愛おしすぎて辛いです!!!!!!🥹 (3月17日 20時) (レス) @page46 id: c0bc1d8a43 (このIDを非表示/違反報告)
琉菜(プロフ) - 赤面しすぎて、キュンキュンしすぎて苦しいです、笑。かっこいいだけじゃなくて、可愛い中也さん……最高でした! (1月31日 4時) (レス) id: 130df2b699 (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - 今リアルの方が色々しんどくて嫌になりながら占ツク開いて主様のお話読んでたらもうこっちの世界幸せすぎて涙出てきました🥲素敵なお話ありがとうございます😭😭 (1月22日 19時) (レス) @page41 id: c0bc1d8a43 (このIDを非表示/違反報告)
黒蜜おもち - この小説見て中也すきになりました。やばい。これ以上推しを増やしていいのだろうか… (1月4日 19時) (レス) @page7 id: 536ced7b0d (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - あの、、なんかもう今年始まったばっかりだけど、1年分のキュンキュン使い果たした気がします😇💗 (1月4日 0時) (レス) @page32 id: c0bc1d8a43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:汎用うさぎ | 作成日時:2023年12月9日 20時