第三十一話 ページ32
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母さん?
神威の口から確かにそう聞こえた。
そういえば神威の家族構成知らない。
聞いていいのか分からない。幼い頃からこの春雨に居たと阿伏兎さんから聞いた。
それ以外の事は何も知らない。
「ねぇ、神威。」
「何?」
「…お母さん、どうかしたの?」
そう言えば突然体は離され、鋭い目で睨まれる。
「お前には関係ないだろ。」
いつもと違うその声色に、表情に、目に私は恐怖しか覚えなかった。
「ごめんなさい。」
「………。」
「風邪、伝染ると駄目だから…。その…。」
「…うん。」
神威は何も言わず部屋を出た。
そんな彼の姿を見て胸が苦しくなった。
きっとお母さんの事は神威にとって触れてほしくない部分だったんだ。
誰にだって聞かれたくない事の一つや二つあるのに、私は私なら大丈夫だって勝手に勘違いして神威を傷つけた。
やはり私は神威のそばにいるべきじゃないんじゃないだろうか。
涙を流すまいと必死にこらえて喉が痛い。
「好き。好きだよ、神威っ……。」
神威にどれだけ嫌われても好きでいたい。
そう思える程神威を好きになっていた。
抑えきれないこの気持ちは、神威にぶつけていいものじゃない。言えばきっと神威はこう言うんだ。
『俺達にそんなものはいらない。』
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ゆる - 面白かったです!!神威可愛いなー(ノ≧▽≦)ノ (2020年5月13日 11時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
りなりー - かわいい、カワイイ、カワ(・∀・)イイ!!キュンキュンしました。大好き! (2020年5月1日 1時) (レス) id: 6dff351985 (このIDを非表示/違反報告)
矮俚好 - うわ、うわ、うわ、うわ!(訳:最高!神!とりあえず……最高!)←伝われ(願望) (2018年1月11日 20時) (レス) id: a1d4539828 (このIDを非表示/違反報告)
雪兎(プロフ) - 面白かったよ、これからも頑張ってねー。(/・ω・)/ (2017年8月21日 5時) (レス) id: dd49ad89fc (このIDを非表示/違反報告)
汎用うさぎ(プロフ) - いちごミルクさん» 読んでいただき、ありがとうございました! (2017年8月3日 10時) (レス) id: 8e8f377fcc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:汎用うさぎ | 作成日時:2017年5月10日 22時