第三十二話 ページ33
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神威side
Aの部屋を出てドアを背にもたれかかる。
酷いことを言ってしまった、その事は自覚してる。
嗚咽まではいかないあいつのすすり泣きに俺はまたドアに手をかけてしまう。
その時に聞こえたAの言葉。
「好き。好きだよ、神威っ…。」
その言葉で俺の動きは制止し、頭の中がぐちゃぐちゃにかき回された感覚に陥った。
好き?Aが、俺を?
ただの自己満で抱いてた俺に好意?
俺はドアにかけていた手をひっこめて拳を握ってこの場を去り、自室へと戻った。
ベッドに仰向けに寝転がり悶々考える。
「好き、か…。」
呟いてみてAの事を考えると胸が締め付けられた。
『自分の胸に手ェ当ててよぉく考えてみろや。』
胸に手を当ててAの事を思う。
これで二度目だ。
あの時よりも確実に早くなっている鼓動とAが俺を呼ぶ声、Aの笑顔がふと頭を過る。
突然、かぁあ、と熱くなる顔。
頬に手を当ててみても普段の熱じゃないのは分かりきった事で、Aの今までの事を振り返ると何故か今頃恥ずかしく思えてきた。
「俺、何やってんだよ…。」
思い返せばAと初めての行為。
俺は吉原で、俗に言う初体験というのを終わらせた。その相手はAで、感じながらも何もかも諦めた表情に俺は目を反らす事が出来なかった。
そして春雨に連れてきたのに後から出てきたシンスケにAをとられた気がして気が気じゃなかった。
結局は連れて帰ったんだけど、少し見なかっただけでAは凄く可愛く見えて、俺のにしたいと思ったんだ。
俺専用の花魁なんて言ったけど、本当は誰にもとられたくなくて、触れさせたくなかっただけ。
「嘘だ。嘘にしてくれよ。」
散々Aを傷つけた俺が、今更あいつの事が好きなんて、遅すぎる。
誰か嘘だと言ってくれ。
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ゆる - 面白かったです!!神威可愛いなー(ノ≧▽≦)ノ (2020年5月13日 11時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
りなりー - かわいい、カワイイ、カワ(・∀・)イイ!!キュンキュンしました。大好き! (2020年5月1日 1時) (レス) id: 6dff351985 (このIDを非表示/違反報告)
矮俚好 - うわ、うわ、うわ、うわ!(訳:最高!神!とりあえず……最高!)←伝われ(願望) (2018年1月11日 20時) (レス) id: a1d4539828 (このIDを非表示/違反報告)
雪兎(プロフ) - 面白かったよ、これからも頑張ってねー。(/・ω・)/ (2017年8月21日 5時) (レス) id: dd49ad89fc (このIDを非表示/違反報告)
汎用うさぎ(プロフ) - いちごミルクさん» 読んでいただき、ありがとうございました! (2017年8月3日 10時) (レス) id: 8e8f377fcc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:汎用うさぎ | 作成日時:2017年5月10日 22時