第三十話 ページ31
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ドアがノックされ、掠れた声で返事をすると入ってきたのは予想外にも神威だった。
ずっと寝ていたから大分体調は良くなったんだけど、体のだるさと咳だけはまだ良くならない。
体を起こせば、神威は目を見開いて私を見た。
「神威?どうかした?」
「あ、いや。何でもないヨ。」
神威お得意の笑顔で誤魔化される。
さっきの彼は私を見ていたけど、私を見ていなかった。もっと、大切な人を見る目だった。
こほっ、と軽い咳が出る。
神威は慌てて私の背中をさすってくれた。
「ありがとう。でも、神威、やっぱり変。」
「そう?いつも通りだと思うけど?」
自分じゃ気付いていない。
神威はそんな作り笑いなんてしない。
無理して、大丈夫だよって言う人程大丈夫な人なんてそんなにいるわけがない。
どうして無理して笑うの。
「神威。こっちに来て?」
「…うん。」
素直にこちらに来る神威をそっと抱き締める。
何が神威の頭の中を占めているのか分からないけど、そのせいで神威が辛い思いをするなら、私にもその辛さを分けて。
「どうしたの?やっぱり元気ない。」
「…そんな事ないよ。」
「日輪が言ってた。甘えたい時は甘えていいんだって。それで私ね…か、神威!?」
突然強く抱き締め返されて、私の心臓は風邪のせいだけでない激しさに揺れ動く。
そんな私の心情なんて知らない神威はボソッとか細い声で囁いた。
「母さん…。」
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ゆる - 面白かったです!!神威可愛いなー(ノ≧▽≦)ノ (2020年5月13日 11時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
りなりー - かわいい、カワイイ、カワ(・∀・)イイ!!キュンキュンしました。大好き! (2020年5月1日 1時) (レス) id: 6dff351985 (このIDを非表示/違反報告)
矮俚好 - うわ、うわ、うわ、うわ!(訳:最高!神!とりあえず……最高!)←伝われ(願望) (2018年1月11日 20時) (レス) id: a1d4539828 (このIDを非表示/違反報告)
雪兎(プロフ) - 面白かったよ、これからも頑張ってねー。(/・ω・)/ (2017年8月21日 5時) (レス) id: dd49ad89fc (このIDを非表示/違反報告)
汎用うさぎ(プロフ) - いちごミルクさん» 読んでいただき、ありがとうございました! (2017年8月3日 10時) (レス) id: 8e8f377fcc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:汎用うさぎ | 作成日時:2017年5月10日 22時