:QK: 短編集（BL）

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伊沢 目線

福良が、好き。
この会社を支えてくれる、ﾌﾟﾛﾃﾞｭｰｻｰである福良が。
皆のお母さんのように優しい福良が。

そう気づいたのは、確か半年前。
ずっと一緒に働いてきた福良に、いつのまにか恋愛感情を抱いていた。

そして3ヶ月前くらい、気持ちを伝える為にさりげなく｢飲みに行こうよ｣と誘った矢先、

福｢その、さ。伊沢。俺、なんか、花が口からでてくる、んだけどさ。…伊沢なら、これ何かわかる？｣

と、相談を受けてしまったのだ。


勿論、わかる。
片想いからなる、花吐き病だ。

最悪、という言葉が1番合うと思った。
伊｢はなはきびょう、じゃんか。片想いからなる病気｣

隠さず、そのまま伝える。

福｢そんな病気、あるんだ。笑 さすが、伊沢は何でもしってるなぁ｣

伊｢クイズ王舐めんなよ！笑｣

笑わないと。口角を上げないと。そうじゃなきゃ泣いてしまう。失恋、というのはこんなにも辛いのか。

福｢かたおもい、かぁ…｣

伊｢…何、心当たりあんの、笑｣

福｢ほんとに、わかんない笑｣

無自覚に好きだなんて。
彼を惚れさせたその人のことが羨ましく思えた。

伊｢誰かわかったら、教えてよ笑｣

福｢ほんとに心当たりないんだって、笑｣

こうなったらﾔｹ、とお酒を飲み干した。
それからはあまり記憶が無い。

多分酔って自分をそのまま福良が送ってくれたんだろう。

--

そして、福良から相談を受けてからずっと、花吐き病で苦しいときは俺が看病しに行っている。

福良の｢背中にも、なんか生えた｣という言葉にはとても驚いたが、摘めばいいんじゃない。という根拠の無い考えから、俺は１ヶ月に1度、福良の背中の花を摘んでいる。

随分長い片想いだなぁ、と考えながら、今日もまた花を摘む。

…白い、カスミソウ。

カスミソウの花言葉って、何だっけなぁ。
そう思いながら着々と摘んでいく。

俺が、福良の好きな人だったら良いのに。なんて考えは毎日のように思う。

ほんとに俺は彼のことが好きだなぁ、とその度に思う。俺のほうが花吐き病になるべきだろ、と思う時だってある。

伊｢今日は…どんな花、吐いたの｣

福｢なんか、色々。笑｣

色々、というのは花を吐くのが多かった時。

伊｢早くその人に告白しちゃえばいいのに。楽になるじゃん｣

福｢それができたらね…笑好きな人がわからない、って、何言ってんのってなるかもしんないけどさ｣

少しムカついたので、ぶち、と1本だけ強く抜く。
福良が いた、と呟いたが気にしなかった。

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