情報屋【男主】

情報が十と一つ ページ12

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時はかなり昔へと戻る
とある街で一人の青年が絡まれて居た



青年は女性に見える様な顔付きをしている
そして対応に困っているのかただただ苦笑して居た



そんな時だ。青年に絡んで居た者達が背後から蹴り飛ばされた





〈お兄様に手を出すなんて百年以上早いですわ！ この外道が！〉






そう云って絡んで居た者達を蹴り飛ばした張本人は輩達をゴミの様に見る
蹴り飛ばしたのは見た目［は］可憐な少女
しかしその中身は超が付くほどのブラコンである
そして少女は［お兄様］と呼んだ青年に抱き着いた





〈お兄様はいっつも変な輩に捕まるんですから！

もう！ お気をつけなさいまし？

お兄様を助けたのが父様でしたらあの輩はもっと酷い扱いを受けていたかもでしてよ？〉




心配そうに云っている少女に対し、青年はヘラっとしながら謝る





《あはは、ごめんね？》




ヘラヘラしている青年の事を心配そうに見つめ、少女は云う





〈謝るのでしたらもう少し気にして下さいまし。

…………私も父様も、母様だってお兄様が心配なんですからね〉





青年は少女の事を見つめ、微笑みながら云った





《うん、これからはなるべく気をつけるね》






青年は少女の手を握り、自分達の家路につく
その後ろ姿はとても幸せそうな姿であった








嗚呼、そんな幸せそうに見える兄妹達に、悲劇が起きてしまう事など、
幸せが終わってしまう事など、青年は気付かないでいた






[幸せが、永遠に続くなんて事はない

幸せはいつか必ず終わりが来るのだから]





いつの日か誰かが青年に云い放った言葉は、
まるで予言の様に当たってしまう事を、青年は知らない





少女は気付いていた。が、にも関わらず青年には云わなかった
今のこの幸せに終わりが来てしまう事は［運命］だと信じて疑わなかったから
そして、その事を知っているのは自分自身だけでいいと思っていたから



それが、少女にとっての幸せだと信じきっていたから






嗚呼、もし、もしも少女が［運命］と云う言葉に縛られていなければ、
兄妹達の幸せが永遠に続いて居たのならば、
青年が変わってしまう事は無かったのかもしれないと云うのに______






［ごめんなさい］





そう悔しそうに呟く声が、どこからか聞こえた気がした

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