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「A…」
「…ごめんなさい起こしましたか」
「悪い夢見てたんだ…丁度良かった」
名前を呼ばれ起こしてしまったと、眉を下げるAに、大丈夫だと制したマイキー。
「そうか、暫く戻らないのか」
「さっさと見つけて帰ってきますよ」
「…待ってる」
マイキーはベッドの縁に腰をかけて、Aを見上げる。それに気付いたAはすぐ、膝をついてマイキーより目線をさげた。
マイキーは痩せたその腕でAの左腕をさらりと触る。
「この印に誓って任務を果たしてこい」
「了解」
Aの仕事柄目に見えるところに、梵天である印が付けられないため、左腕の二の腕の内側の部分に施されている。
「帰ったら1番に俺の元へ来いよ」
「ふふ、勿論」
マイキーと目を合わせたAは、下げていた腰をあげて、マイキーの寝室を出た。
「いっちょやりますかぁ」
アジトを出て、目の前で待機されていた部下の車に乗って、標的の会社を目指した。
「この会社が中途採用受け入れてて良かったですね」
「ほんと、新卒しか無理とか言われたら捏造だるいもん」
東京港区六本木、高級住宅街から大手企業が集まるこの地区にはあまり足を踏み入れないAは車の窓から景色を眺めていた。新宿歌舞伎町を中心に眠らない街、夜の街と言われる場所を管轄とするAにとっては少し新鮮だった。
「着きました。」
「ありがとう」
スーツのヨレを治し、高層ビルへ入っていくAを部下は見送った。いつもはやる気のないイメージのついている上司だが、やる時はやる姿に、尊敬の眼差しを向けた。
ビルに入り、Aはとりあえず受付に声を掛けた。早く会社に慣れるには、人付き合いが1番大事である。好印象を持たせるためにも人当たりの良い人を演じ、味方につけておく。
「すみません、人事部はどちらにありますか」
「あ、ハイ!!7階の方にございます。」
「ありがとうございます」
会社の中の構造も全て頭に入れているが敢えて聞くのはつまりそういうことだ、最後ににこりと笑顔で挨拶すれば、大体はコロッといける。
エレベーターに乗り、7階を押す。
中途採用の者が今日来ることは既に連絡済みであり、ここの人間は誰一人自分を梵天の人間だと知らない。
会社の利益を考えたとき、社長にとってガサが入るのは言語道断である為、社長が裏切り者である可能性はゼロだ。社長に話をつけて出来るだけ自分が自由に動く権利を貰う。それが今日のミッションである。
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綾人 - 21.22話ぐらいの時に綾辻くんの名前を綾人で設定していたので、なにがなんだか分からなくなってしまってカオスで面白い状況になっていて笑いました!こういう小説がずっと読みたかったので嬉しいです。これからも無理せず頑張ってください! (7月27日 21時) (レス) id: 37a56df5f0 (このIDを非表示/違反報告)
Noah(プロフ) - mさん» コメントありがとうございます。この作品に出会ってくれて本当に嬉しいです。私も綾辻くんには思い入れがあるのでこれからぜひ推してあげてください (2023年2月27日 1時) (レス) id: 4cbd1f8990 (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - 初コメント失礼します。綾辻くん本当に可愛くていつの間にか、推しになっていた、とっても面白い作品でした!完結する前に出会えなかったこと、とても悔しいです。この作品を作って、残していただきありがとうございました! (2023年2月19日 11時) (レス) @page47 id: 0d9b393e0f (このIDを非表示/違反報告)
Noah(プロフ) - あ。さん» そうです!18禁じゃないリクエストもお受けしております〜! (2022年4月17日 11時) (レス) id: 47f23e3d75 (このIDを非表示/違反報告)
あ。(プロフ) - 短編集ってR18のほうですか?いつも面白いです! (2022年4月17日 8時) (レス) id: 976bfd9362 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Noah | 作成日時:2021年10月25日 15時