72.息を止めるように沈黙を ページ23
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「オートの無下限に引っかかった??」
「???」
ぽつりと悟くんがこぼした言葉に私は首を傾げた。
おーと?無下限?前に聞いたワードだけれどどちらもよくわからない。
それでも悟くんが驚いているのは確かだ。
「……これ、別格にヤバい術式刻まれてる。発動もしてないのに僕の術式に引っかかるとかえッぐ」
そう言って悟くんが手に持ったのは高等破道が封印されたやつだ。
「A、マジでこれを生得術式じゃなくて、素の呪力操作で構築してんの?」
生得術式は知っている。それは七海さんから聞いたし悟くんも軽く説明してくれた。それで、特別な目を持った悟くんがわたしには生得術式がないというのだからわたしに術式はない。
けれど、だからといって鬼道は呪力操作によるものかと言ったら、よくわからない。
だって、鬼道は本来ならば言霊による詠唱で制御を行うからだ。
世界そのものに対し、言霊で語りかけ事象に制御を設ける。惣右介くんは一時的に世界の一部のルールを書き換えているなんて言っていたけれど、その実は知らないし。
そして、言霊による制御は誰もが行えるわけではなく《権限》が必要なのだという。
世界を書き換える権限が。
生と死、二つの世界の魂のバランスを保つ死神はその権利を有していて、私の場合はそもそも霊王の魂が身のうちにあったから鬼道が人だった頃でも使えた。
「うーーーん???
どうなんだろう……。言霊、、、とか使ってるから、呪力操作だけじゃない…?のかな?」
「言霊の構築だって呪力編まないとムリでしょ」
「……え?」
「は?」
2人で見つめ合ってコテンと首を傾げた。
イヤだって、言霊は言葉に霊力を乗せることで世界に対して明確なイメージを固定させるための儀式だ。言葉を発する上で術式なんて編まない。
そのまましばらく見つめ合って、お互いの常識が互いにずれていることをやっと悟った。
「マジAの謎が深まるばかりなんだけど」
「えー、えぇーーー…。
私だって悟くんのことよく知らないしおあいこだよ」
「あ?七海に僕のこと聞いたんでしょ。
フェアじゃないだろ」
「………、ま、まぁそうかもだけど…、」
これは自分語りをする流れなのかな。
それは、、、イヤだ。
困ったように笑ったら、悟くんは何も言わなくなった。
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rion20051222(プロフ) - 千手皎天汰炮の詠唱が脳内で勝手に浦原さんボイスで再生されます。😇女の子が言ってはずなのに、、この作品めっちゃ好きです。BLEACHと呪術廻戦めっちゃ好きなのでコラボ?クロスオーバー?の作品が見られてとても嬉しいです。☺️応援してます。🥰 (2022年11月12日 18時) (レス) @page26 id: bb474d7fe4 (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺(プロフ) - 綴さん» 藍染推しがいてむっちゃ嬉しい笑。藍染を喋らすのに難しすぎていつも頭抱えてるので、言葉遣いが好きって言っていただけて嬉しいです。出張った藍染楽しみにしていてください! (2022年8月18日 12時) (レス) id: 153811d407 (このIDを非表示/違反報告)
綴(プロフ) - 藍染惣右介が出張ってるの好きです。朱鷺さんの作品の雰囲気や言葉遣いが好きです。これからも応援してます。 (2022年8月17日 15時) (レス) id: 5b5b2f3cf9 (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺(プロフ) - ありささん» ありがとうございます!地道に頑張ります (2022年8月15日 17時) (レス) @page42 id: 153811d407 (このIDを非表示/違反報告)
ありさ(プロフ) - すごく面白かったです。とても続きが気になります…。もう更新されないのでしょうか??更新されることを心より祈っています^ ^ (2022年7月15日 6時) (レス) id: 6d37357eb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱鷺 | 作成日時:2021年9月6日 16時