【文スト】百鬼ノ図と隣人【壱】

【暁の狙撃手．伍】 ページ49

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椅子を用意してAのベッドをかこむように座った。





アレクサンドル･デュマ______Aの義理の父。


…………、Aは今１８歳。この男が多く見積もっても２５だとすると………、７歳の時にAを預かって父親になった？？




____________ないな。





と、なるとやはりなにかの異能なのだろう。
身体の質量の重さと云い、不可思議で、不透明な能力だ。





「…………、云っておくが中原中也。
俺は、日本でいう…………三十路を超えている」




「マジかよ」





整った鼻を持つ端整な顔立ち。
白い肌と灰色の上に黄金の瞳がよく映える好青年。

くせっ毛は後ろでゆるく束ねられ、崩された燕尾服は悪い印象は持たない。





「…………、詐欺だろ」



「マフィア畜生が何をいうか」





デュマは立ち上がり、Aに手を添える。


撃たれた肩に手を置いて何やら何かを確かめるように動かした。
太ももの傷にも同じようにして、最後に心臓の上に手を置いた。





「済まないね。大事な娘さんに傷をつけて」




「心の無い詫びはやめとけ。

この程度の傷ではAは死にはしない。三日もすれば歩き出す。


_________傷口はもう閉じているからな」




「…………閉じているだと？」




「ああ。Aの異能の副作用だ」




「Aの異能は動物と話せるモノだろ？」




「アレは断片的なものに過ぎん。
本質からこぼれ落ちた、残留だ」





その言葉に、中也はちらりと首領を見るがかれは曖昧に笑っただけだった。
知っていたのか…………。


そもそもが謎だらけなのだ。
この男は。





「………、何故本人が知りえない異能をオマエが知っている？」





「さっきっから質問ばかりだな。


それは愚問だろう。
俺がAの親であり製作者だからだ。




異能力【百鬼ノ図】





俺はそう有れかしと望みAを育ててきた」




不機嫌そうにそう答えた。
そこで中也は妙に納得する。

今までのAの父親に対する行動と言葉が。







「そんな俺を、人は“贋作の王”と呼ぶ」








そうだ、コイツの異名じゃないか。
誰が呼び始めたか。
【贋作王】






原典を超える贋作を作ると云う、トロイメライ･カンパニーの重臣。









ようやく、贋作の真の意味を知った気がした。
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【暁の狙撃手．伍】


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