【文スト】百鬼ノ図と隣人【壱】

【いま何時？.参】 ページ15

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死を、望んでいただろうか。



絶望の淵に立たされたけれど、怒りや憎しみが多く、同時に悲しかった。



「お前に死なれると、俺は、困る」




困る。


_____ボスが会いたがっている。

_____私に情報を吹き込んだ、友人について、突き止めていない。



彼の心の中では、ソレが大半を占めているのは何となく理解出来た。
それでも、__________



「全部吐いちまえ。
そんなに一人で溜め込むな。今のお前の横には俺がいるんだ」




大きな手で、頭をなでられた。
不器用だけど黒い手袋をしていない手は暖かくでホットする。



『…………高校を、辞めました』



ポツリと吐いた。



「…………あァ」



『私の父が、“お前には必要が無い”と判断したそうです。


………私の父は、本当の親ではありません。それどころか私は本当の親も知らない。お義父さんには、感謝しています。


彼のおかけで、今私はここにいる。
レールの上を歩く人生だとしても、一時の自由をかみしめたかった！

私にとって、あの学校は学べることはなくとも、かけがえの無いモノだった』




「………、学校を辞めさせて、お前の親父は何をやらせようとしてる」



『…………お義父さんの会社の手伝いです。


父が設立と運営に関わる企業の一柱となることを望まれましたから』



「(………そこまで酷い話でもねェ、か。寧ろ孤児にならなかっただけでも幸運だ)」



私はふぅー、と息を吐き出した。
どこまで話していいのかがわからない。


今の話では、彼は私がどっかの小企業の令嬢だとでも考えているのか………。



「………引越すのか？」



『それだけは絶対にしません。私の意地です。

………最初で最後の反抗期。それぐらい許してくれると思いますから』




「………そうか」



目元を緩ませる中原さん。
思わず、目を見開いてしまった。


それに気づかれ、額を叩かれた。





「で？お前の職種は何になるんだ？」





『………私の生業は“ＳＥ”。

一般的にシステムエンジニアと呼ばれるものです』



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