No.02 鬼ごっこ ページ2
＊
「ヒマならいっしょにあそぼーぜ！」
独り木陰にいたAは声をかけられたことに心底驚愕し、そして困惑した。今までにもこうして声をかけてもらうことがあったが、それが男の子だったのは初めてだからだ。
そしてAは、かけられた声にどう答えたら良いのか分からなかった。
しかし男の子は、そんなAなどお構いなしに話し続ける。
「おにごっこするんだけど、やるひとが４にんしかいねぇんだ。だから、おまえはいれよ！」
「う、うん」
男の子の勢いのある話し方に、Aはつられて答えてしまう。
「やった！ オレ、ばくごうかつきな！」
未だに状況を掴めていないAは、ばくごうかつきと名乗った男の子…爆豪勝己に手を引かれる。男の子はすたすたと他の男の子達のもとへ歩く。
少しづつだが落ち着きを取り戻したA。自己紹介されたことが嬉しくて、心の中で何度も「かつきくん」と呼んでいた。
「つれてきたぜ！」
「おー！」
「あたらしくきたやつだ！」
「よろしくー」
Aは少しでも受け入れてもらった喜びから、俯いていながらも顔を綻ばせた。
他の男の子達の自己紹介を済ませ、Aも先程よりは大きな声で名を名乗る。それから、鬼ごっこが始まった。
「いーち、にーい、さーん、しーい」
鬼となった勝己は、大きな声で数を数える。そして十数える間に、他の子達は逃げるのだ。
「ろーく、なーな、はーち、きゅーう」
Aはたくさんの人と遊ぶことがおよそ初めてであったため、はりきって走った。
「じゅう!!」
スタートと同時に走り出した勝己。一番近くにいた男の子を狙って駆けた。
男の子は一生懸命に逃げるが、あっという間に差はぐんぐん縮まり、背中をタッチされてしまった。
鬼ごっこにおいて、タッチは捕まえたという意味である。
「わぁ！ かっちゃんはえー!!」
「へへっ、じゃーおにこーたいな！」
そして鬼に捕まった子は役を交代し鬼となる。
「うわー！ こっちきた!!」
「にげろー！」
「まてー!!」
Aは楽しくてしょうがなかった。思い切り走って、思い切り笑って、思い切り声を出したからだ。
この保育園に来てからずっと下を向いていた顔が、いつの間にか上がっていた。
この瞬間、Aは遊ぶことの楽しさを知ったのだった。
「ととまるちゃんって、あしはやいね！」
「！」
「ぜんぜんつかまえられなかった!!」
「そ、そうかな」
＊
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サブとバラ(プロフ) - １ちゃん様、うなﾁｬ様、麗紅花様。レスを長らくお待たせしてしまい、申し訳ありません。コメントしてくださり、本当にありがとうございます！そろそろ更新を再開する予定でございます。そのときには、また応援していただければ幸いです。 (2021年3月24日 22時) (
レス) id: 4ca3bc2d2a (このIDを非表示/違反報告)
麗紅花(プロフ) - はじめまして。あなたが書いた小説を読んで最高でした。何よりも可愛らしくて、微笑ましくて、同時にちょっぴり切なくて良かったと思いました!続き、楽しみに待っています。 (2020年7月31日 21時) (レス) id: b338802f9d (このIDを非表示/違反報告)
うなﾁｬ - 面白かったです。楽しみに待ってます() (2020年6月21日 21時) (レス) id: 6b728aedaa (このIDを非表示/違反報告)
１ちゃん - とっても面白かったです!更新よろしくお願いします! (2020年5月24日 12時) (レス) id: 43879a9f7a (このIDを非表示/違反報告)
リヴ - いえいえ！！私も早まったコメントをしてしまい、申し訳ございません！！ (2020年5月23日 16時) (レス) id: 9de3fc0d23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サブとバラ | 作成日時：2020年4月23日 23時
