No.01 臆病な子 ページ1
＊
広島県で産まれた『
都会の方だが、穏やかな住宅街に新しく住まいを購入する。大きな一戸建て住宅である。
そこに居を構えて数日後。母は既に三年間の育休を終えていたために四歳にほど近い娘・Aを近場の保育園へ送り出した。
その娘はというと、極度の人見知りであり人に対する臆病さをもっているので不安で仕方がないといった様子だった。余談だが、広島で体験したたった数ヶ月間の幼稚園では友達が出来なかったらしい。
仕事へと向かう母と泣く泣く別れたAは、初対面の保育士と手を繋ぐ。否、繋がされる。
保育士と強制的に繋がれたAの小さな手は、微かに震えていた。
「Aちゃん。この先のお部屋には、Aちゃんと同い年の子達がたくさんいるの。入ったら先生がAちゃんを皆に紹介するからね」
保育士がAに柔らかく微笑んで話しかけるが、対するAは目を合わせないようにしながら小さく頷いた。母から返事という礼儀を教わったばかりだが、今のAにはまだ勇気のいることである。
この先にいるという同い年の子達と仲良くなれるのか、嫌われたりしないか。Aはますます不安にかられた。
胸に手を当てたり深呼吸したりと、色々と試してみたものの、いっこうに早まる鼓動を抑えられない。そうこうしているうちに、保育士によって教室の扉が開かれる。
Aは現実から逃げるように、ぎゅっと目を瞑った。
「皆さん、おはようございます！」
「おはようございます!!!」
園児達の大きな声に、思わずAは可愛らしい兎の耳を塞ぎたくなった。
「今日は、新しいお友達を紹介します。兎々丸Aちゃんです！ 仲良くしてあげてね」
保育士の言葉で、一斉に注目の的になるA。好奇の目ばかり集まるものだから、Aは更に縮こまってしまう。
さながら肉食動物に睨まれた兎の様だ。
「では！ 朝のお歌の時間です！ Aちゃんも一緒に歌おうね」
Aはまた、小さく小さく頷いた。
* * *
自由時間。園児達がそれぞれ遊具なりお絵描きなり、好きなことをして遊ぶ時間だ。
人見知りを発揮していたAは勿論独りである。
知らない景色。知らない声。知らないものだらけで気持ちが悪かった。
しかしその時、全てが変わったのである。
「おまえ、いまひとり？」
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サブとバラ(プロフ) - １ちゃん様、うなﾁｬ様、麗紅花様。レスを長らくお待たせしてしまい、申し訳ありません。コメントしてくださり、本当にありがとうございます！そろそろ更新を再開する予定でございます。そのときには、また応援していただければ幸いです。 (2021年3月24日 22時) (
レス) id: 4ca3bc2d2a (このIDを非表示/違反報告)
麗紅花(プロフ) - はじめまして。あなたが書いた小説を読んで最高でした。何よりも可愛らしくて、微笑ましくて、同時にちょっぴり切なくて良かったと思いました!続き、楽しみに待っています。 (2020年7月31日 21時) (レス) id: b338802f9d (このIDを非表示/違反報告)
うなﾁｬ - 面白かったです。楽しみに待ってます() (2020年6月21日 21時) (レス) id: 6b728aedaa (このIDを非表示/違反報告)
１ちゃん - とっても面白かったです!更新よろしくお願いします! (2020年5月24日 12時) (レス) id: 43879a9f7a (このIDを非表示/違反報告)
リヴ - いえいえ！！私も早まったコメントをしてしまい、申し訳ございません！！ (2020年5月23日 16時) (レス) id: 9de3fc0d23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サブとバラ | 作成日時：2020年4月23日 23時
