Track51 ページ8
「…！ 何を知ってんだ！ 教えろ…！」
左馬刻はAに言った
「……新生ヒプノシスマイクを使われた」
「んな事ぁ知ってんだよ！」
「そのマイクの効果を知りたい」
「あ"？」
「それによっては、元に戻せるかも知れない」
「本当か？」
「じゃなければ、司を呼んではいない」
胸倉を掴むと左馬刻の手にAは触れた
左馬刻の手から力が抜ける
「理鶯君も銃兎も気付いた事は話してもらおう
今回の件で私も中々頭に来ているからな……」
Aはそう言って煙草に火を着けた
「情緒不安定…か」
「やっぱりね…」
三人の話を聞いたAと露路はそう呟いた
「姉さん…？」
「司教官…？」
「これで、確証を得る事ができたよ
新生ヒプノシスマイクとやらは、人間を完全に操る事は出来ない」
「(あとは……)」
「いい収穫だ」
露路はそう言うと、懐からヒプノシスマイクを取り出し、左馬刻に差し出した
「あ？」
「僕のヒプノシスマイクは、『ヒプノシスマイクの効果を無効化する』 君の妹にも通用する筈だ」
左馬刻は露路からヒプノシスマイクを受け取った
「但し、自分から合歓ちゃんに会いに行くような事はしないでくれよ」
「何でだよ」
Aの言葉に左馬刻が言った
「司と貴方達の関係が知られたら……あっちは手段を選ばないぞ
今日みたいに捕まるだけでは済まないかもしれないからな」
「…おお」
「安心しろ 焦らずとも、合歓ちゃんはまた君の前に現れる」
Aは左馬刻に言った
「……もしかして姉さんは…左馬刻にそのマイクを渡す為だけに露路さんを…？」
「そうだよ」
銃兎の呟いた言葉に露路は言った
「そう…とは、どういう事だ？ 司教官」
「君達が捕まる事は予想外だったけど、Aちゃんは碧棺合歓が行政監察局の人間として彼に会いに来る瞬間を待ってたんだよ
そして今日、やっと連絡が来たんだ」
「それってつまり…」
「全てAちゃんの掌の上だったって事」
露路がそう言うと
「露路さん 姉さんから話を聞きました
四年前、姉さんを助けて頂きありがとうございました」
銃兎がそう言って頭を下げた
「礼には及ばないよ」
露路は銃兎に言った
「A殿、司教官 礼に今度、小官が料理を振る舞おう」
「おお〜」 ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ
「ﾌﾌｯ それは楽しみだな」
理鶯の言葉に露路とAは言った
「これ……俺等も食う事になるんじゃ…！」
「ｳｯ…言うな 左馬刻」
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作者名：朱鷺の砂 | 作成日時：2020年3月28日 16時
