☆19ページ☆ 光を堕とす為に 【桜の森の満開の下編 】 ページ22
二人は幻想的な桜の森の中をゆっくりと歩む。
「まさか、こんな風に桜下と散歩が出来る日が来るとはな。正直、夢にも思わなかったぜ。」
『ふふ、確かにそうね。
最初の頃は如何なるかと思ってだけど、今こうして満開の桜の下を歩けるなんて、まるで夢の様。』
「夢じゃないさ、俺が夢になんてさせない。」
そう言って、安吾は桜下の手を握る。
「小さいな…アンタはこんな小さな体でずっと、俺を守ってくれてたんだな。」
ずっと、触れられないと思っていた者に触れられて、安吾は本当に嬉しそうな表情を浮かべた。
『守るなんて…大袈裟よ。
必要な事だったとは言え、貴方に随分と辛い思いを…』
「それだよ、アンタはいつだって俺を励まし、心配してくれていた。」
『其れは…声が聞こえたから…』
私はこの世界に初めて来た時の事を話した。
すると、安吾は。
「はは、そうか。なんか、カッコつかねぇな。」
『そんな事ないわ、私は無頼派三羽鴉の作品は何度も読み返したわ。
どの作品も時代に縛られる事なく自分の美学を貫いて、そんな作風を私は好きになったの。』
「ふはは、そうか、それを聞いてたお陰で確信したわ。」
『え？一体何を確信したの？』
「なぁに、昔、アンタに似た事言った少年がいたんだ。」
安吾は自分が死んで彷徨っていた頃の事を語り出した。
『そっか…』
その話を聞いたAは戸惑いを隠せなかった。
だって、その話に登場した少年こそ、今は亡きAの父親である桔梗だったのだから。
「アンタの親父は言ってたぜ"案外、俺の家族に救われるかも知れない"ってな。
悔しいが、その通りになった。」
『ふふ、堕ちてる余裕なんて無さそうね。』
「はは、違いない。
なぁ、桜下…この物語の結末は知っているな？」
『ええ、勿論。
この物語の本質は"孤独"。炳五、お別れです。』
その言葉と共に、安吾の服装は元の山賊の姿に。
「なあ、桜下…いや、A。
初めて会った時に俺が言いかけた言葉があったのを覚えているか？」
『ええ、勿論。』
「なら、今度こそ言わせて貰うぜ。」
安吾はAをまるで宝物を扱うかの様に抱きしめ。
「桜下、いや、A。
アンタは闇に堕ちた俺を導く一筋の光。
その光は恐らく俺だけのものじゃない。
だから、此処で宣言してやる。
お前が生きる目的が達成したら、この俺がお前を掻っ攫ってやる！」
そう言う也、彼は私の髪に飾られた紅桜の簪を抜き取り。
「待ってろ、いつか、お前を俺という闇に堕としてやるからな。」
この言葉を最後にこの世界のAの体は光と也、安吾を照らしたのだった。
☆20ページ☆ 桜と孤独 【桜の森の満開の下編 完】→←☆18ページ☆ 桜の枝【桜の森の満開の下編】
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なのは(プロフ) - 更新楽しみです！ (2020年7月3日 3時) (
レス) id: 122a982782 (このIDを非表示/違反報告)
空夜☆時音(プロフ) - 夢さん» ありがとうございます！pixivとこの作品は重なる様に書いて居ますので好みによって違うかも知れません。これからもよろしくお願いします！ (2020年5月25日 15時) (レス) id: b7a01024a7 (このIDを非表示/違反報告)
夢 - pixivでも見てます！更新頑張ってください！（私も小説頑張ります） (2020年5月25日 14時) (レス) id: ed90ac981f (このIDを非表示/違反報告)
夢 - がんばれがんばれ(語彙力) (2020年5月25日 10時) (レス) id: ed90ac981f (このIDを非表示/違反報告)
べっこうあめ - 初コメ失礼します! めっちゃ面白いです！作ってくれてありがとうございますm(_ _)m (2020年5月21日 8時) (レス) id: 036a34d0ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：空夜☆時音 | 作成日時：2020年4月18日 3時
