☆12ページ☆ 紅の彼 【桜の森の満開の下編】 ページ15
炳五が都へと移り住んで暫く経った頃。
私は風と感じながら静かに時を過ごしていた。
そんな時だった…彼が落ちて来たのは。
「うわぁぁ！！」
ﾄﾞｽﾝ
「痛たたた。何か俺今日は落ちてばっかだなぁ…」
大きなタンコブを拵えて涙目になっているのは。
『あの…大丈夫ですか？』
「え、あ、うん、大丈夫…え？あれ？えーー！！！」
様々なリアクションを見せる彼に私は。
『お、落ち着いて、ほら深呼吸して。』
Aの言葉通りに深呼吸すると、彼は私の手を握った。
「姫！どうして、勝手に消えたりしたんだよ！
俺、ずっと…お礼を言いたいって…ウ。」
その姿を見て、気が付けば、彼の綺麗な真紅の髪を優しく撫でていた。
『改めて、太宰治さん。
私はある時はかの暴君の姫、またある時はこの鈴鹿の森に生える桜の化身。
しかして、その正体は！』
「もう、何言っちゃってるの！
俺は姫がどんな姿でも、俺の愛しい女である事に変わりないんだよ。」
『そ、そうですか？
(確か…太宰さんって女性関係が華やかだったっけ？
うん、龍之介さんといい…文豪の皆さんは口説き上手だなぁ)』(・∀・)
とまあ、相変わらずの鈍ちんなAだが。
『メロス…いえ、太宰治さん。』
スッと気持ちを切り替え、本題に入った。
『貴方はこれからこの物語の主人公である山賊の男の元へ向かわなければなりません。
治さん、お願いです。
どうか、炳五…いえ、坂口安吾の心を救って下さい。』
私はゆっくりと彼に頭を下げた。
「な、頭を上げてくれよ！安吾を救うのは当然だよ！
だけど…姫はどうして其処まで安吾の事を。」
『治さん。其れは貴方達がよく理解している筈です。
何故、彼がこの物語に囚われてしまっているのか。』
Aのその言葉はまるで鋭い刃の様で。
「…ごめん、姫。」
『いえ、私も少し感情的になり過ぎました。
でも、その謝罪の言葉は私ではなく彼に言ってあげて下さい。』
「う…はい。」
『よろしい、そうだ、芥川先生なら既に京の都に居ます。今から都に向かう一行の元に貴方を送るので意識をしっかり保ちなさい。』
「ま、待って！その姫…また、会える？」
『ええ、この物語が進めばまた会えます。』
その言葉を聞いてホッとしたのか、太宰はスッと姿。消した。
『上手く行ったようね、さて…芥川先生に連絡を。』
Aはスッと目を閉じ、意識を集中させた。
☆13ページ☆ 優しい香り 【桜の森の満開の下編】→←☆11ページ☆ 心休める地へ 【桜の森の満開の下編】
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 23人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なのは(プロフ) - 更新楽しみです！ (2020年7月3日 3時) (
レス) id: 122a982782 (このIDを非表示/違反報告)
空夜☆時音(プロフ) - 夢さん» ありがとうございます！pixivとこの作品は重なる様に書いて居ますので好みによって違うかも知れません。これからもよろしくお願いします！ (2020年5月25日 15時) (レス) id: b7a01024a7 (このIDを非表示/違反報告)
夢 - pixivでも見てます！更新頑張ってください！（私も小説頑張ります） (2020年5月25日 14時) (レス) id: ed90ac981f (このIDを非表示/違反報告)
夢 - がんばれがんばれ(語彙力) (2020年5月25日 10時) (レス) id: ed90ac981f (このIDを非表示/違反報告)
べっこうあめ - 初コメ失礼します! めっちゃ面白いです！作ってくれてありがとうございますm(_ _)m (2020年5月21日 8時) (レス) id: 036a34d0ed (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空夜☆時音 | 作成日時：2020年4月18日 3時
