☆11ページ☆ 心休める地へ 【桜の森の満開の下編】 ページ14
芥川のその言葉に私は…
『芥川先生、私はこの地を離れる事は出来ません。
今の私はただの桜の化身です。
しかし…手がないわけでは有りません。』
そう言って私は自分の桜の木から若い枝を選び、彼に渡した。
「これは？」
『その木を持っていれば、私と何時でも連絡を取り合う事が出来ます。
所謂、通信機ならぬ通信木ですね。』(o^^o)
と、ちょっとした洒落を言うと芥川は笑みを浮かべ。
「ふふ、そっか、ならこの桜の枝は有難く頂くね。」
芥川が枝を受け取ると同時に。
「A、僕は君とは浅からぬ縁があるらしい。」
『そうですね、もしかしたら、ご先祖様が貴方達との縁を結んでくれたのかも知れませんね。』
「え？君って文豪の血を引いてるの？」
芥川は目を見開くと。
『はい、母方の血筋と祖母の方の血筋で。』
「そっか、なら辿るのは難しいね。
女性は苗字が変わるし…そうでなくとも、妾の子なら認知されてなければね。」
『そうですね、でも、今の私は祖父を探すのに手一杯ですから…もし、ご先祖様に会えたとしたら幸運です。』
「そっか…君はその、好きかい？その、ご先祖様の事？」
『え？勿論、尊敬していますよ。
だって、ご先祖様が居てくれたから私が今居る訳ですし、何より素敵な作品を読む事が出来るんですから。』
「そう、その言葉が聞けるなんて…なんだか文豪冥利だね。」
芥川はフイッと顔を横に向かせ、まるで初な若者の様な反応を見せる。
その様子をコテンとしながら見ていると。
不意にとても禍々しい気配を感じ。
『先生、此処に長く居ると危険です。
さあ、早くお行きなさい。』
「分かった、桜下…またね。」
芥川は名残惜しそうに桜下の桜を後にする。
其れと同時に草花の影から見知った人影が。
「桜下…」
『お久しぶりね、炳五。
少し窶れた顔をしているけど、元気そうで何より。』
「桜下…俺…女房と都に住む事になったんだ。」
『そう、お嫁さんを貰ったのね。』
「嗚呼、だが…分からないんだ。」
『え？分からないって…何がわからないの？』
「俺は何時も通り…旅人を襲っただけだった。
だが、女房を見た途端…何かに操られたみたいになって…気付いたら…女以外の人間を殺していた。」
まるで闇に追いかけられ、光を求める子供の様で。
助けてあげたい…でも、其れは私の役目じゃない。
ならばせめて…
『炳五…もし、貴方が環境に馴染めず嫌気がさしたのなら、貴方が真に"心安らかに住む事が出来る地"に行きなさい。』
その言葉が響いたのか、彼は私の目の前で子供様に泣きじゃくったのだった。
☆12ページ☆ 紅の彼 【桜の森の満開の下編】→←☆11ページ☆ 帰省の桜 【桜の森の満開の下編】
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なのは(プロフ) - 更新楽しみです！ (2020年7月3日 3時) (
レス) id: 122a982782 (このIDを非表示/違反報告)
空夜☆時音(プロフ) - 夢さん» ありがとうございます！pixivとこの作品は重なる様に書いて居ますので好みによって違うかも知れません。これからもよろしくお願いします！ (2020年5月25日 15時) (レス) id: b7a01024a7 (このIDを非表示/違反報告)
夢 - pixivでも見てます！更新頑張ってください！（私も小説頑張ります） (2020年5月25日 14時) (レス) id: ed90ac981f (このIDを非表示/違反報告)
夢 - がんばれがんばれ(語彙力) (2020年5月25日 10時) (レス) id: ed90ac981f (このIDを非表示/違反報告)
べっこうあめ - 初コメ失礼します! めっちゃ面白いです！作ってくれてありがとうございますm(_ _)m (2020年5月21日 8時) (レス) id: 036a34d0ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：空夜☆時音 | 作成日時：2020年4月18日 3時
