少しずつ見えた不安の糸 ページ13
ガタッ────
「きゃっっ、!」
『!?』
「った、い、」
『Aどうした?!』
ものすごく慌てて宏光がキッチンへ飛んできた。
「ううん、ごめん。なんか急にふらついて目の前真っ白になっちゃった…笑」
まただ。
この頃やっぱり手が震えて物をよく落としてしまう。
最近は落としてしまうのが怖くて、私はものを持つことすら一呼吸が必要。
そして今、私の足元に滑り落ちた包丁が目に入る。
『大丈夫か?怪我は?』
「ううん、ないよ大丈夫」
『ごめん俺がここで見てれば良かった』
宏光は悲しそうに小さい子を抱くように、私を抱きしめた。
ひと月前に買ったマンション。
私がどこにいても見えるようにと、キッチンはアイランド型にしてくれた。
だけどね、宏光。
あなたには私が見えるかもしれないけれど、
私には時々あなたが見えなくなる。
苦しくて痛くて申し訳なくて
どうしても自分のことばかり考えてしまう時があるの。
「ねぇ宏光?」
私はいつものようにソファでテレビを見てる彼に聞く。
『ん?』
「いつかさ、私のこと忘れる?」
『え?それどーゆー、』
「私はずーっと宏光がこうやってソファでぽかーんって口開けて、なんにも気にせずにすくすく育って欲しいって思ってるよ?笑」
『えぇ?笑 ますます分からないわ笑』
「私もなんだか言ってて分からなくなった笑」
『ちょっとこっち来てみ?』
そう言って彼はソファで自分の隣をポンポンと叩いた。
そしてまた、私に腕を回して私の頭ごと肩に乗せて言った。
『忘れらんねぇよ、絶対』
『Aの声も笑顔も仕草も、全部忘れられるわけねぇって笑』
あぁ、そうなんだ…。
この時私は気づいてしまった。
死ぬって残酷だ、ってことに。
それから、もっともっと、私には残酷な未来が待ち受けていた。
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ももちん - 涙がとまりません (2021年1月3日 0時) (レス) id: bd2e175192 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - ともさん» このレス欄でメンバーを言っていただければOKです! (2019年10月3日 15時) (レス) id: 1f93544609 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 返事遅くなりすみません!ボード大丈夫ですか? (2019年10月2日 0時) (レス) id: 1f79981bd4 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - ともさん» 大丈夫です! (2019年9月24日 1時) (レス) id: 1f93544609 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 病系でも大丈夫ですか? (2019年9月22日 15時) (レス) id: 1f79981bd4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユナ | 作成日時:2019年9月13日 15時