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57:私は空気を読んで帰ります ページ21

橘堂で湯豆腐を食べた三人は、街へ出ていた。

「たべすぎた」

「そうだね……」

敦は自分の財布を見て言った。

敦は先程の国木田の言葉を思い出した。

鏡花に声を掛けようとするが、何かを思い出したように目を強く瞑った。

その行動に鏡花は疑問を浮かべた。

それに気付いて敦は平静を装った。

「あ、いや何でもない。行こう」

「どこへ?」

「え?」

「私をどこへ連れて行くの」

「ど、どこってそれはつまり…えーと」

敦はAに目で助けを求める。

『私に助けを求めても駄目ですよ。
言ったのはお兄さんなんですから』

敦は諦めたように鏡花に視線を戻した。

「えーと勿論君が行きたくなる処だよ。
行きたい処ない?ほらあの、その」

焦りのあまり身振りが大きくなる敦。

「君位の子が好きな処。例えばデート場みたいな」

鏡花は何も言わず黙っている。

「ほ…ほら、僕も今日は請暇(せいか)を出したし、君だって外出して遊ぶ事なんて無かったでしょ。
付き合うから如何でしょう。
ひとつ本日は羽を伸ばされてみては」

『お兄さん、変な日本語になってます』

「デート場?」

鏡花が漸く口を開いた。

「うん」

「貴方と?」

「うん…………ん?」

敦は自分の発言の意味を理解した。

「あ……!あいや、その」

慌てる敦とは違い、鏡花は嬉しそうに顔を紅くした。

鏡花なりの感情表現なのだろう。

『私はお邪魔みたいなので…先に帰ってますね』

「いやいや待って!置いてかないでよ!」

そう引き留められてAは歩を止めた。

『じゃあ、可哀想なお兄さんにお金を貸してあげましょ〜う』

そう言ってAは財布から一万円を取り出した。

そして敦の手の上に置いた。

『アハハ それじゃあさよなら〜』

「え?ちょ、ちょっと!!?」

敦がAの方を向いた時には、もうAはだいぶ離れていた。

それを見て敦は諦めたように笑った。

58:あの時の私の判断を恨みました→←56:優しさは自分を殺す



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♪音姫♪(プロフ) - 霧神廉さん» リクエストありがとうございます。あまり書いた事の無いキャラですが頑張ります! (2018年5月1日 11時) (レス) id: 28f218a5c0 (このIDを非表示/違反報告)
霧神廉 - とっても面白いです! リクエストで夢主ちゃんがモンゴメリちゃんと夢野久作と仲良くなる展開にしていただいでも宜しいでしょうか。ご検討、御願いします。 (2018年4月30日 22時) (レス) id: cff83fd718 (このIDを非表示/違反報告)
♪音姫♪(プロフ) - REIYAさん» コメントありがとうございます。これからも更新頑張ります♪ (2018年4月29日 14時) (レス) id: 28f218a5c0 (このIDを非表示/違反報告)
REIYA(プロフ) - 何時もみてます。≪そ〜ら〜を〜飛んで((≫の所を見ると頭の中で≪飛んで飛んで飛んで飛んで飛んで飛んで飛んで飛んで回って回って回って回る〜≫しか流れないのです。分からないですよね。すみません。此れからも頑張ってください (2018年4月28日 15時) (レス) id: bc3561fcd7 (このIDを非表示/違反報告)
♪音姫♪(プロフ) - 嘘の仮面@英さん» ありがとうございます。 リクエストの方は、番外編(?)として別の小説を作る予定なので、そちらに書かせていただきます。 これからもよろしくお願いします。 (2017年12月20日 17時) (レス) id: f26110437a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:♪音姫♪ | 作成日時:2017年6月22日 8時

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