[文スト]中島敦には、可愛い双子の妹が居ます:2[中島敦]

52:計画？打ち合わせ？そんなの要らないです ページ16

乗客と私を庇う体勢＿＿＿

自分を犠牲にするつもりなのだろうか？

『(それだけは......駄目です！)』

「来ないで」

そう呟かれたのと同時に、
ﾁｬという刀を抜く音。

「ごめん。もう無理だ」

そう呟いてお兄さんは走り出した。

さっきよりも真剣な顔付き。

繰り出された夜叉の攻撃を、
ギリギリで避ける。しかし......

次の攻撃の速さ......敵う筈もなく、
お兄さんは失望したように、目を閉じた。

「(あの力があれば＿＿＿)」

私も見ていられなくて、咄嗟に目を瞑った。

ガキィイン！！

何の音？少なくとも、
何かが斬れた音では無い。

私はそっと目を開き、目の前を見た。

そこには、虎化した腕を掲げ、
刀を止めているお兄さんの姿。

銃弾を通さない虎の手足に、
勿論、刀は通らなかった。

私は自分の傷を見る。

傷口はもう癒えている。動けるだろう。

その瞬間に出された斬撃。

それを軽々と避けていくお兄さん。

私もﾀﾝｯと地を蹴り、
お兄さん達の方へ向かう。

お兄さんと私は、ぶつかることなく、
狭い空間で攻撃を避けた。

そして次の瞬間......

私は夜叉の刀へ蹴りを放った。

お兄さんは、夜叉の刀へ拳を振るった。

なんの予定も計画も無いのに、
私とお兄さんは、同時に刀を攻撃した。

ガンッ！という嫌な音がして、刀が折れた。

お兄さんはその間に、鏡花さんに
虎化した腕を向けていた。

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