[文スト]中島敦には、可愛い双子の妹が居ます:2[中島敦]

51:生きることの価値 ページ15

私とお兄さんは走り出した。

しかし、お兄さんは夜叉の攻撃を避けれず、
血を吐いた。

私は斬撃を全て避けていく。

生憎、今日はナイフ等は持っていない。

でも、戦える限りでいい。
あの子自身は、それほど強くないはずだから

「'敵の盡(ｺﾄｺﾞﾄ)くを切り刻め。夜叉白雪'」

携帯から聞こえるこの声......
芥川さん......？

そんなことを考えていると、夜叉の刀が、
私達を斬った。

ｷﾝｯという鞘に刀を納める音と共に、
列車の窓硝子が割れ、私とお兄さんから
鮮血が舞い上がった。

お兄さんは倒れ、私は膝から崩れた。

「ｹﾎｯ)何故......君みたいな女の子が」

「......私の名は鏡花。
あなたたちと同じ孤児」

同じ......孤児......

「好きなものは兎と豆腐。
嫌いなものは、犬と雷。
マフィアに拾われて、
六ヶ月(ﾑﾂｷ)で35人殺した」

温度を感じない声と、光の見えない瞳で
少女......鏡花さんは云った。

「'爆弾を守れ。邪魔者は殺せ'」

「35人殺し.........！」

ヨロッと立ち上がったお兄さんは、
弱々しくそう云った。

そこで夜叉が刀を抜く音が聞こえた。

私はお兄さんを庇うように前に立ち、
ギリギリで止めた。が.........

『......ｶﾌｯ......』

刀が少し刺さり、吐血した。

殺戮に特化された能力の攻撃は、
私の能力でも、多少の時間が無いと
治癒は出来ない。

刀が抜かれて、治癒が始まるが......
この傷では、もう少し掛かる......

その間にお兄さんは何を考えたのか、
ヨロッとまた立ち上がった。

そして、お兄さんがその後に取った行動は＿

＿＿私の前に立ち、
乗客や私を庇う体勢を取った。

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