[文スト]中島敦には、可愛い双子の妹が居ます:2[中島敦]

49:実験の協力するなんて云ってないんですけど ページ13

ｶﾞﾀﾝ ｶﾞﾀﾝと列車の揺れる音がする。

「済みません、さっきは」

「気にするこたァないよ......ところでさ。
アンタ、マフィアに脚を喰い千切られた
そうじゃないか」

お兄さんは少し考えた後、'ああ'と云った。

すると、与謝野さんは
お兄さんの脚を見始めた。

見られているお兄さんは、恐る恐る
'何か問題でも？'と云った。

「......別に。妾が治療できなくて残念だ、
ッて話さ......でも、次はないよ」

「え？」

「前回は探偵社(ｳﾁ)に正面から突っ込ンで
自滅したけど、元来マフィアってのは、
奇襲夜討が本分だ。
夜道にゃ気ィつけるんだね」

与謝野さんは少し声色を変え、
'何時(ｲﾂ)どこで襲ってくるか知れないよ'
と云った。

『ｱﾊﾊ)マフィアが来たら、
私がお兄さんを守りますよ』

与謝野さんは私の言葉を聞くと、
'アンタは大丈夫そうだねエ'と云った。

そして、その次の瞬間＿＿＿

「あァ〜〜こちら車掌室ゥ。
誠に勝手ながらぁ？唯今よりささやかな
'物理学実験'を行いまぁす！」

『物理学実験？』

甲高い声が車両内に響き渡る。

「被験者はお乗りあわせの皆様！
ご協力まァ〜〜っことに感謝！
では早速ですがぁ、
これをお聞きくださぁ〜〜い」

ﾄﾞｵｯという爆発音が振動と共に聞こえた。

「今ので2、3人は死んだかなぁ〜〜？
でも次はこんなモンじゃありません！
皆様が月まで飛べる量の爆弾が、
先頭と最後尾に
仕掛けられておりまぁ〜〜す！」

次の言葉が容易に予想できた。

この人の目的は......！

「さてさて、被験者代表
敦くん、Aちゃん！君達が
首を差し出さないと、乗客全員、
天国に行っちゃうぞぉ〜〜〜？」

『云った傍からですね』

「ど、どうしましょう！？」

「一、大人しく捕まる。
二、疾駆(ｼｯｸ)する列車から、乗客数十人と
一緒に飛び降りて脱出。......三」

「連中を......ぶっ飛ばす？」

与謝野さんは、ﾆﾔｯと微笑んだ。

「何しろ妾らは、武装探偵社だからねぇ」

その話を聞いていた、男性...
与謝野さんを殴った人が、
'金は払うから助けろ'と云ってきた。

「依頼じゃ仕方ないねぇ」

「そ、それからもう一つ......」

......その後の話を聞いた与謝野さんは、
男性の首を殴り、ｺﾞｷﾞﾝという鈍い音も
私とお兄さんには聞こえた。

「さて、手分けして爆弾を解除するよ。
妾は前、アンタらは後部だ」

「もし、敵がいたら？」

その問いに与謝野さんは微笑んだ後......

「ぶっ殺せ！」

その言葉と同時に、私達は走り出した。

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