[文スト]中島敦には、可愛い双子の妹が居ます:2[中島敦]

48:女性の顔を殴るって...... 最低ですよね ページ12

結局、私達は与謝野さんの荷物持ちを
任せられている。主にお兄さんが。

「ま、まだ購うんですか？」

「落とすンじゃないよ？落としたら＿」

「お......落としたら？」

与謝野さんはニィッと怪しく笑った。

それにお兄さんは、苦笑いをした。

歩いている途中、女の子とすれ違った。

これだけ聞けば大したことはないが、
その子の瞳には、光が無かった。

お兄さんもよそ見をしたので、
近くの人にぶつかりバランスを崩した。

大きな荷物は落とさなかったが、
袋に入っていた檸檬が床を転がった。

その一つを男性が踏み、その場で転んだ。

「あーあー」

「うわっ、大丈夫ですか！」

謝っているにも関わらず、その人は
怒りだしてしまった。

お兄さんが困っていると、
与謝野さんが仲裁に入った。

しかし、男性は与謝野さんを蹴り倒した。

「女の癖に、儂を誰だと思ってる！
貴様らの勤め先など、電話一本で潰して＿」

「女の癖に？」

その声と同時に、
ﾒﾘｯと何かの折れる音がした。

「そいつは恐れ入ったねェ。
女らしくアンタの貧相な××を踏み潰して
××してやろうか？」

何か、聞こえちゃいけないのが聞こえました

『与謝野さん。その辺にしておきましょう』

私は男性の方を向き、こう云った。

『此方の不注意で申し訳ありませんが...
女性を殴られるのはどうかと思いますよ？』

私の瞳を見て何を思ったのか、
その人は青ざめた顔をした。

その間に、与謝野さんは
すたすたと歩き始めた。

私はお兄さんの荷物を少し持ち、
'行きましょう'と云って歩き出した。

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