短 ページ25
白い衣
もちろんあんまり好きになれない理由はある。
彼の顔が無駄にかっこいいから腹が立たないわけはないが……そ
れ以上にちゃんとした理由はあるのだ。
「それはもちろん_」
「いや、理由なんてこの際なんでもいいわね。
とにかくさっさとここから出ていきなさい。いいわね?
バレたら大変よ。
帰りはあっちの道を進んで下に降りたらそのあとは…って!」
そう言って出口を指差すが、彼は全く人の話を聞いてなかった。
それどころか遊んでいる。
「おー!上から見るとこんなふうに見えるのか!!こりゃ驚きだ!」
「ちょっと人の話を聞きなさーい!」
思いっきり蹴りにかかるが、さっとかわされてしまった。
「ははっ、君は相変わらずだな。」
そんな上から目線の言葉を言って、すっと私の頭をぽんぽん撫でる。
「さあて、茶番はここまでにしてだ。まずは再会した俺に言うことがあるだろ?」
「ないと思うけど?」
「…そこまで言うか?」
苦笑いで私に聞いてきた。
いや、特にない気がする。
「…でももし、貴方に言うことがあるとすれば、いい加減撫でるのはやめなさい!」
「おっ!?」
そう言ってまた蹴るが、華麗にまたかわされる。
「本当ぶれないな、君は。」
そう言って今度は後ろにまわって抱き締められる。
「ちょっ!?」
「_会いたかった。」
「へっ?!」
耳元でいきなり囁かれたので、ビクリと体が跳ねてしまった。
「っははは。驚いたか?」
「そういう驚きは要らないの!」
私が彼を嫌っている理由は_コレだ。私があそこにいる時、ずっとこういう男女の戯れっぽいことを平気で私にやってくる。
例えば
酒に弱いのを知っていて飲ませてべろんべろんに酔わせるし!
徹夜まで長引く仕事の合間に膝枕しろだの、接吻したいだの、風呂に入ろうだの、邪魔ばっかりしてくるし!
日に日にイタズラが酷くなって、本来なら数分のところ避けるのに何十分もかかりながら廊下を歩いたことがあるし!
要は私に対する彼のからかいが限度を超えているから好きじゃないんだ。
「そう気を悪くしないでくれ。
別に怒らせたくてやっているわけじゃあないのさ。」
「じゃあ、早く離してくれない?」
私の胸のサイズがバレるだろうが!!
怒りを含めて彼を睨むがそこまで効果が見られない。
「…ああ、俺からも願おうかな?見ているこちら側からすれば大層見苦しいものでね。」
「え!」
110人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:沙恵燬 | 作成日時:2019年2月1日 1時