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外れる推理



「そうか。」
恋愛について語り始めるのを興味がないのもあって軽く返せば、彼女は怒った。
いや、拗ねたと言った方が正しい。

「ちょっとちゃんと聞いてー。」

「……男の俺に語ってどうする。何か得でもあるのかな?」

「…ま、まあ…ないわね。」


「そういうことだ。」

聞けばその分だけ自覚してしまうのが嫌な俺は早々にこの話を断ち切った。






その後、暫く似たようなことをする試合を見ていると彼女がふと…唐突に呟いた。

「_長義、なんであの日あそこに居たの?

いつもどこ行ってるのか知らないけど…、あんな場所普段の貴方なら行かないでしょ?」

彼女が変な憶測を始めるきっかけになった"あの日"を指してるのか?


またぶり返したいのか、と半ば呆れる。
「そんなことを聞いてどうしたいのかな。」

「もしかして答えられない理由があるのかしら?」

「…人を誑かすな。」

「まあまあそう言わずに。」

高らかな声でじわじわと急かしてきたので、ぼそりと口にした。
「……。
少し様子を見に行っただけだ。」


「やっぱり?」

ん?

隣を見れば、こちらをじっと見る彼女の顔があった。紙で顔を隠されていても、首を傾げてこちらを伺うせいで少しだけ見えて分かるのだ。その顔はいかにも悪戯好きな子供がちゃかすような顔で_



「……何か悪いかな?」

にたにたと紙越しでも分かるその笑みにむしゃくしゃする。

「ちょうぎくんでもそういうデレを見せるんだなぁと思って?
好きな女の子の仕事姿を見たいだとか、若しかすると汗ばむ季節だから透けるシャツ越しに見える下着でも見たいのかなぁと思あだっ!?」
「どこでそういうふしだらな言葉を覚えたのかな。」
半分あっているが半分違う妄想を暴露しようとしていたので、頭にでこぴんというものを食らわす。

……存外、痛そうに額を抑える様子なので次からも使ってやろうと思った。

「痛いじゃない…っ!長義の馬鹿!鬼!阿呆!」

一応、付喪神の俺に……鬼とは…。



「餓鬼か。」

「が、餓鬼じゃないわよっ!」

こういう女の何処がいいのかと思ってしまう。





「……シャツね。」

相手は巫女服だ。シャツなんて着てない。



つくづくこの女の推理は外れる。

短その四→←短



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作者名:沙恵燬 | 作成日時:2019年2月1日 1時

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