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中〜夢主ちゃん、海に行く〜15 ページ13

「切ってやろうか?」

「やれるもんならやってみな」

「上等だ。この際どちらが上か教えてやろう」



「あの、……二人ともちょっといい?」


少し見ない間に、一層嫌悪が激しくなっている2人の合間に入った。

「どうした、大将。俺っちに頼み事か?」
「…手短に言え」

お前らさっきまでの凄まじい殺気はどうしたんだよと突っ込みたくなるほど落ち着いている。

薬研とか特に後ろから花びらが舞っているような…?

いや、幻覚だ。

もういい。幻覚にしとこう。

「お取り込み中に悪いと思ってるし、こういうとき私が止めなきゃいけないってわかってるんだけどね。

私、ちょっとやること出来たからさ

その…少しの間席を外さないとダメになったといいますか……」

「やること?」

薬研はきょとんとしたあどけない少年顔で私に聞き返す。
元はと言えば彼が原因なのだが、
それでも理由は言わない方がいいと判断してやることだけを言った。
「女の勝負よ!」

「「…は?」」

やっぱり二人とも実は仲がいいんじゃないかと疑いたくなる程息が合っている。

「全く答えになってない」

「右に同じく。…たーいしょ、俺に隠し事は良くないぜ?」

素直に吐けと言わんばかりの笑みを浮かべている。
その笑みは「言及はしないが隠し事はあんまりすんなよ、大将」とかの意味ではなく、「早く答えろ」と言っているのは言うまでもないだろう。


とはいえ、説明する時間がない。
仕方ない。ここは強行突破で行こう。

「薬研、ごめんなさい。後でちゃんと説明するから…!
じゃ、勝利をかっさらってくる!」

ドヤ顔をかまして、その場から人混みに紛れる。



…二人には色々と悪いと思ってるが、これは自分の問題でもある。

取りあえず簡単に追跡出来ないように色々と回り道をして、やっとその場にたどり着いた。




「あれれぇ、てっきり来ないかと思ったんだけどなぁ〜」

茶髪のふんわりした髪を弄りながらにたにたと嗤う美少女。そのパステルカラーのふりふりとした水着は彼女によく似合っている。

「申し訳ございません」

パレオをつまみお辞儀をすれば、その美少女はその仮面を自ら剥ぎ取った。

「…ふん、そんな態度を取ってられるのも今のうちよ。
私の刀剣男士達を奪ったその気持ち悪い仮面を剥ぎ取ってやるんだから…っ!!」

…色々と略奪されてんのはこっちなんだけどな
とか思いながら私は薄ら笑いを浮かべた。

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作者名:沙恵燬 | 作成日時:2019年11月25日 2時

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