ブラックお嬢様のブラックな本丸事情【刀剣乱舞】

拾陸 ページ17

・


渋々、囁くような小さな声で呼ぶ。
すると昼同様、ぽふんっ、と
可愛らしく現れるこんのすけ。

「……もしかして、今お呼びになられたのって」


やけに驚愕している。

『あぁ、私だ。ここでのお金ってどうすればいい？』

するとこんのすけは少し目を見開き、私は敬称で呼ばれる程の狐では……と困惑したように小さく呟きながら質問に答えた。

まぁ、確かに長谷部だってさん付けだし。
今度から普通にお狐さん、にしとくか。

「ここでのお金、ですか。

一応朔夜様は現在、審神者という職業に就いていることになっております。
なので給料というものが出るのです。

そして、貴女様はブラック本丸への就任なので、普通の審神者様に比べると補助も出ます。

……例えそれが誘拐、という形になっていても」


なるほど。
なら私の場合、よほどのことがない限りはお金に関しては大丈夫ってことだな。

それにしても、だ。

『遂に誘拐認めたな?』

項垂れながらこんのすけは肯定した。てっきり私を攫った人間達は倫理観が欠如しているのかと思ったが……ちゃんと悪いことをしている自覚はあったようだ。

そしてこんのすけは小さな革袋を取り出す。

「肯定するしかないでしょう……さて、では今月の分です。」

礼を言って受け取り、中を開けると小判。
やっぱり現代とは違うんだな、と改めて実感させられる。

ではまぁ、軍資金も入ったところで出陣(買い物の旅)するとしよう。

そこでふと、こんのすけに目がいく。


『お前も来るか？
油揚げのひとつくらいなら買うが』


すると目に見えてぱぁあっと明るくなる
こんのすけの顔。
…………単純だな。


「では、参りますよ」

「はいっ!!」


外で筆談は紙が邪魔になるため話すしかない。だけど、たまには人との『会話』ってものも悪くない、かもしれないな。

拾漆→←拾伍

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す