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1107. ページ8

「…すごい、便箋だけで六枚もあるわ。写真も、こんなにたくさん」

「ん、そうだな」

「それにこの香り…お姉ちゃんが気に入ってた香水の匂いよ。ほらA、分かる?」

「わかるよ、いい香りだ」


ふわりと漂う花の香りは、俺にとってはただのいい香りに過ぎないけれど、志保ちゃんにとっては忘れ難い、かけがえのない香りだったのだろう。

早速開いた手紙に目を通しながらも、時折深く息を吸っては心底嬉しそうに笑う彼女の表情がいつになく幸せそうに見えて、さっきまで少し冷たかった胸の中が温かくなるのを感じる。
年の離れた妹でも見守るような心持ちで…、とはいえ、一応は手紙の内容にも視線を走らせながら、俺はしばらくの間、彼女のそばに寄り添っていた。


だが、一通り内容を読み終えた彼女が最後の便箋────それは、何も文字が書かれていない綺麗なままの状態だった────をめくって再び最初から手紙を読み返し始めた時、俺の意識はも目の前の彼女から離れ、赤井から手紙を受け取ったあの夜の記憶へと向けられていた。

“手袋をして準備した” それが明美さんからの伝言だと赤井は言った。その言葉の意味が、彼女の意図が、ようやくわかったのだ。

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設定タグ:コナン夢 , 黒の組織 , 腐向け   
作品ジャンル:恋愛
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櫂渦【とーか】(プロフ) - マリアンヌさん» マリアンヌさま、はじめまして。最高の褒め言葉をありがとうございます!マイペースではありますが、これからもお楽しみいただけるよう尽力して参りますので、どうぞ宜しくお願いいたします。 (3月31日 20時) (レス) id: 7ff0039a36 (このIDを非表示/違反報告)
マリアンヌ(プロフ) - はじめまして。名探偵コナンの知識はほぼ持っていないのに読み始め、気づいたら虜になっていました。櫂渦さん、文才がありすぎて有名な小説家の方なのかなと本気で考えています。本でもこの物語を読みたいくらいに大好きです。これからも楽しみにしています。 (3月30日 15時) (レス) @page14 id: 1f5a49a19a (このIDを非表示/違反報告)
櫂渦【とーか】(プロフ) - ありがとうございます。確認してまいります。 (3月10日 21時) (レス) id: 7ff0039a36 (このIDを非表示/違反報告)
あやなみ(プロフ) - 櫂渦【とーか】さん» んーとあのとーかさんのボードに返事送ったのでそこで会話するんです。通知来てると思うのでご確認お願い致します。返事待ってます。とーかさん! (3月8日 18時) (レス) id: 861062e758 (このIDを非表示/違反報告)
櫂渦【とーか】(プロフ) - あやなみさん» こんにちは。応援ありがとうございます!一緒に会話をするというのは、こうしてコメント欄でお話をするという意味でしょうか…? (3月8日 17時) (レス) id: 7ff0039a36 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:櫂渦【とーか】 | 作者ホームページ:https://www.pixiv.net/users/28997649  
作成日時:2024年3月6日 14時

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