【コナン】23. 寝て起きたら前世の記憶思い出した。【男主】

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ならば、何故そんな知略を巡らせたのか。
それは、俺や組織に工藤新一のことを調べられては困ると思っているからだ。調べれば、工藤新一が本当は死んでいない(・・・・・・)ということに、俺が気づくかもしれないと恐れたからだ。

つまり裏を返せば、ベルモットは工藤新一が生きていることを知っている(・・・・・)。
生きていると知っているからこそ、万が一の可能性すら憂慮して、庇うために「知らない」と嘘をついたのだろう。


奴は俺との付き合いが長いから、殺した相手のことは存在を丸ごと記憶から消してしまう俺の習性を知っている。
実際、もし俺が工藤新一のことを殺した気になって忘れていたなら、その有名さも女優の息子である事実も知らず、ベルモットが「知らない」と答えたことの不自然さにも気づくことはなかっただろう。

だが、俺はAのおかげで工藤新一の幼児化を知っていた。殺せなかったことを分かっているから、存在は今も記憶に刻み込まれたままだ。
おかげで、違和感に気付くこともできたし、これでベルモットの思惑も知れた。

庇う訳については、思い入れのある同業者の愛息子だからか、若返った少年に歳を取れなくなった自分を重ねてのことか、或いはもっと他の理由があるのか分からない。
が、庇っているという事実さえ分かれば十分だった。



そこまで考えて一旦満足しかけたところで、ふとある危険性に気がついて舌打ちを零す。

工藤新一が江戸川コナンであるということ────すなわち、この世に幼児化という現象が存在することをベルモットが知っているなら、灰原哀という身寄りも出生の記録もない少女の正体がシェリーであることに勘づくのは容易かっただろう。

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