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「あんたに付けた標的名だ、知らなかったか？…大女優シャロンが脚光を浴びたのは、舞台のゴールデンアップル。あの時のままあんたは確かに綺麗だが、中身はシワシワの
「くっ！」
笑みを含みつつ、殊更馬鹿にするように言ってやれば、案の定。早ったベルモットは巻き込まれている少女たちから銃口を外し、こちらに向かって構え直してくれた。
だが、仮にも本職の狙撃手であるこちらの方が、引き金を押し込むのは早い。至近距離からドッと音を立てて身体に撃ち込まれた散弾は、奴の意識を奪うには至らなかったが、それでも体勢を崩させるには十分な威力があった。
そもそもからして、拳銃よりも散弾銃の方が雑に狙っても的に当てるのは容易い。そんなことも頭から抜け落ちるほどに彼女が狼狽えてくれたのなら、煽った甲斐もあったというものだ。
「ダメよシュウ、殺しちゃ」
「安心しろ、防弾着やパッドを重ねて身体中に装着している事ぐらい、奴の動きでわかる。肋は二、三本折れただろうがな…。それより見ろ、散弾で裂けた奴の顔を。やはり、あれがあの女の変装なしの素顔ってわけだ」
次に備えて銃にショットシェルを装填しながら、不安げなジョディに向かって説明をしてやる。七変化する魔女の素顔が確実になったというだけでもFBIにとってはひとつの大きな収穫だった。
だが、無論だからといってこのまま逃がしてやるつもりなど毛頭無い。隙を突いたつもりか、走り出したベルモットを視界の隅で捉え、足を止めてやろうと即座にもう一度レミントンを構えた。
しかし、ここで散弾銃を構えていたが故の誤算が生じてしまった。
「チッ、子供たちが邪魔で撃てん…！」
弾が四方へ散らばる散弾銃は、とりあえず当てるということに特化しているため、精密な一点だけを狙った射撃はできない。
自分の周囲に子供たちの姿が配置されるように動いたベルモットにその欠点を突かれてしまい、引き金にかけた指は虚しく動かすことができなかった。
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作者名：櫂渦【とーか】
| 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/users/28997649
作成日時：2023年5月28日 23時
