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「ホォ……あの男、カルバドスというのか。ライフルにショットガンに拳銃三丁、どこぞの武器商人かと思ったぞ」
「っ、赤井秀一！？」
驚くベルモットの顔は見物だったが、今の俺は、それに構っている余裕はなかった。
ああ、何ということか。せっかくAから忠告めいた予言を貰っていたというのに、それを活かせた自信が無い。
「両足を折ってやったから当分商売はできんだろうが……まずいな、あれがカルバドスだというのなら、もう少し真剣に懐を探っておくべきだったか」
「シュウ！」
安堵したように声を上げるジョディとは逆に、俺の心中は少なからず荒れていた。一刻を争う事態では無かったのだから、もう少し丁寧に奴を探っておくべきだった。
あれだけ持っていたのだから、万が一に備えてもうあと銃の一丁や二丁、懐か、或いは付近の物陰に隠し持っていたとしても不思議は無い。
だが、悔いたところで、今更奴のところへ身体検査をやり直しに戻る訳にはいかない。頼むから、いい子で気を失っていてくれよ、と願うより他なかった。
「なるほど、カルバドスは林檎の蒸留酒…腐った林檎の相棒には確かにお似合いだ。くそ、さっきあの男を倒した時にそこまで気づくべきだったな」
「あら。腐った林檎って、どういうことかしら」
知ってか知らずか首を傾げたベルモットを、煽ってやるつもりで言葉を重ねる。少しでも怒りで判断力が鈍ってくれれば重畳、そうでなくともこちらに損は無し。となれば、やらぬ手はなかった。
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作者名：櫂渦【とーか】
| 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/users/28997649
作成日時：2023年5月28日 23時
