【コナン】21. 寝て起きたら前世の記憶思い出した。【男主】 (ページ2)

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[-赤井’s side-]

「待ってって言ってるでしょ！」

夜の闇に響き渡るのは、腐った林檎───ベルモットの喚き声。緊迫した状況ではあるものの、どうやらまだ死者は出ていない。

俺にとっての本命だったジンこそ姿を見せてはいないが、急いで駆けつけた価値があったようだ、と物陰で小さく息を吐いた。

とりあえず今自分がやるべきなのは、合わせた照準の向こう側ばかりを覗いて、無防備にも背後の警戒を怠っている目の前の男の制圧からだろう。
音を立てぬよう細心の注意を払って忍び寄り、距離を詰めたところで飛びかかって、一息に引き倒す。

真っ先に利き腕らしい右腕の肩を外し、抵抗が弱くなった隙に軽く首を絞めて意識を落とさせながら男の所持品を漁れば、武器の数々が次から次へと出てきた。

近接戦には縁のないスナイパーだったのか、ざっと全身を漁って全てを奪い取る頃には、呆気なくも男の意識は飛んでしまっていた。それでも念の為、逃げられぬようにと両足の骨を折ってから、ジョディの元へと急ぐ。

簡単にやられるような仲間ではないが、負わされていた怪我の大きさを思えば、彼女一人でベルモットを捕らえるのは荷が重すぎるはずだ。

コンテナとコンテナの間、狭い暗がりを進みながら、奪ったレミントンのフォアエンドを手動で前後させて、空の薬室内に新たな弾薬を装填する。シャコ…という音がスチールの壁に反響して、殊の外大きく響いた。

「OK、カルバドス。挟み撃ちよ」

ポンプ音を聞いて勘違いしたのだろう。俺をあの男と勘違いしたらしいベルモットが、意気揚々と声を掛けてくる。

残念ながら、この散弾銃を構えていた本来の持ち主は、もうとっくに意識を飛ばして夢の中。仮に意識を取り戻していたとしても、武器を奪われたスナイパーなど、何の役にも立ちはしない。

そこまで考えたところで、ふと、今聞いたばかりの男の名前が引っかかった。