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「俺が、やりたかったのになぁ」
「…あ？」
零れ落ちるようにポツリと呟かれた言葉の意味が一瞬理解できなくて、思わずAが居るはずの場所を二度見する。兄貴も同じだったらしく、珍しく間の抜けたような声を漏らしていた。
なお、肘をついて身体を横に立てている兄貴の背中に遮られて、俺の目には全くAの姿が見えていない。
そんなに大事に隠さなくても、一言告げてくれれば俺はさっさと部屋を出ていきやすぜ、兄貴。
「ん？…えっ、あ、ちがっ、違う！そうじゃなくて、その、何もせずに寝落ちてごめん」
「ふっ、くく、必死だな。隠さなくていいから、言ってみろ。ほら、say」
「…っ、ほんとは後始末も全部、俺がやりたかった。もっと大事に大事に愛したかった。なのに、記憶はあやふやだし、途中で意識無くすし、ジンに無理やりしそうになるし。もう、ほんと、さいあくだ。くすりもあの女の人も、きらい」
不貞腐れたように呟くAとは相対的に、内容が内容なだけに嬉しいのか、兄貴は機嫌良さげに鼻を鳴らしている。
…兄貴、そろそろAにも気づかれそうなんで、部屋から出て行ってもいいですかい。頼むから、俺の存在を忘れないでくだせぇ。
「フン、その女はベルモットが片付けたはずだから、忘れろ。…それより、ベッドで他の女の話題を出すなと教えたはずだぜ？」
「ん、いや、俺が教わったのは、名前を出すのはマナー違反、だったろ。そこは覚えてるぞ。だから、アウトなのはジンの方だ」
「チッ、まぁいい。後始末がしたいならまた今度やらせてやるから、とりあえず今は風呂場まで運べ。抱かれたせいで腰が立たねぇ」
「えっ、今度？次があるのか？約束だぞ、二言は無いな？」
「無ぇよ。どっちでも好きにすればいいと言ったのは都合よく忘れやがったか、A」
「違う違う、覚えて…る、けど。あっ、待って、無理して起きると腰痛むだろ。風呂場だったら、すぐ運ぶからそのまま──────、えっ」
兄貴の要望に応えるためだろう、布団から上半身だけ抜け出したAが兄貴に手を伸ばしかけて、そのままの体勢でピタリと静止した。
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櫂渦【とーか】(プロフ) - シリーズを繋ぎ直しました！続きを読む、で次の話に飛んでいただけます！ (8月14日 23時) (
レス) id: 7ff0039a36 (このIDを非表示/違反報告)
櫂渦【とーか】(プロフ) - 点Ｐさん» ごめんなさい、コメントいただいて初めて次の話にシリーズが繋げられていなかったことに気づきました！まだ続きもupしてあるので、お楽しみいただけると幸いです！ (8月14日 23時) (レス) id: 7ff0039a36 (このIDを非表示/違反報告)
点Ｐ - 追いつきました…最高です！今まで見た中で一番好きです！最新頑張ってください！ (8月14日 21時) (レス) @page50 id: 7d48b43935 (このIDを非表示/違反報告)
櫂渦【とーか】(プロフ) - 乌罗伊利亚さん» ありがとうございます！これからもお楽しみいただけるよう頑張って参ります！！ (7月4日 21時) (レス) id: 7ff0039a36 (このIDを非表示/違反報告)
乌罗伊利亚 - とても面白かったです！今、一番好きな作品です 更新頑張ってください！！ (7月4日 12時) (レス) @page50 id: 21b25aa0ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：櫂渦【とーか】
| 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/users/28997649
作成日時：2023年3月11日 21時
