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「ええ、本名を諸伏景光というのですが、彼は今も日本警察の庇護下で生きています」
「…ジンとバーボンの目を誤魔化せるほどの死亡偽装なんて、そんなまさか。もしできたとしても、あなたがそれを知っている理由がわからないわ」
「偽装のやり方は伏せさせていただきますが、知っている理由は簡単ですよ。彼を助けたのは他でもない俺自身ですから。もちろん、すべてを一人で成し遂げたわけではありませんが」
「嘘でしょう……どうしてあなたが、そこまでしてスコッチのことを？」
問いかける自分の声が震えていることは、自覚していた。今自分が口にしている問いは、Aという存在にとっての核心とでも言うべき、本来ならば他人が足を踏み入れることは許されないような、ある種の脆さを備えた芯の部分に迫ろうとしているに違いない。
彼が私の質問に答えてくれる確率は、五分より低いのではないかとすら思われた。はぐらかされるかもしれない。
でも、もしかしたら彼の本心が、本音が垣間見えるかもしれない。
そんな期待と不安が入り混じり、私の胸の内で静かに渦を巻いては波のように打ち寄せる。
「弟という存在は、どんな手を使っても守りたいものだ。…そうでしょう？」
「おとう、と」
語るAの口調は先程までと変わらず淡々としているようで、その実、どこか温かさを含んだものへと、いつしか変わっていた。
「ええ、血の繋がりこそありませんが、彼は俺の弟です。守ってやれるのなら、俺はどんな手でも使う。だからこそ俺は、あなたが弟さんを大切にしていることを知って今、それを利用して交渉しようとしている訳です。
あなたも俺と同じように、自分の弟を…無二の家族を大切にする人だと思いましたから」
「…無二の家族ね、ええ、大切だわ。命を懸けてでも守りたい。だけど、私は、あなたを信じていいのかしら」
本人に聞くなどと、馬鹿げているとは思う。尋ねてしまっている時点で、気持ちが傾きつつあるのは丸見えだ。
私がもしAの立場で、相手を騙そうとしているのなら、ここぞとばかりに相手の心を揺さぶりに畳み掛けるだろう。
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櫂渦【とーか】(プロフ) - チャパさん» 嬉しすぎるお言葉、ありがとうございます！！マイペース更新にも関わらず追いかけてくださっていること、本当に嬉しいです。これからもお気の向く限り、男主の人生にお付き合いいただけますと幸いです( * ･ᴗ･ ) (2023年2月26日 9時) (
レス) id: 7ff0039a36 (このIDを非表示/違反報告)
チャパ - 沢山の作品の中で作者様のジンが1番好きです。飽きやすいので見なくなる作品は多々あるのですが、ずっと飽きることなく読ませてもらってます。前々から思っていたのですがふと好きだなーという感情がわいてきたのでコメントさせていただきました。長々とすいません。 (2023年2月23日 21時) (レス) @page38 id: b567095a1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：櫂渦【とーか】
| 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/users/28997649
作成日時：2022年6月19日 21時
