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[-キール’s side-]
「取引をしましょう、キール。まだジンにすら報告していない、とびっきりの情報を差し上げます」
唐突に、Aがそう言って顔を上げた。チャリン、と首元のプレートが金具とぶつかって澄んだ音を奏でる。
「あら、それは嬉しいわ。それで、私は何をすればいいのかしら」
「俺が対価として何を望んでいるかは、お判りでしょうから省略します。取引に応じるかどうかの回答は、こちらが開示する情報の正確さを確認した後で構いません。応じていただける場合、その情報はあなたに差し上げたものとしますから俺が何か利用することはないものと考えていただいて結構です。もちろん、他の誰かへ売りつけるような真似も致しませんのでご安心を。…ここまで、何かご質問はありますか」
淡々と、まるであらかじめ用意されていた原稿を読み上げるかのような調子で条件を上げ連ねたAに、全く違和感を覚えなかったといえば嘘になる。
たとえば、何故立場が弱いはずのAがいつの間にか会話の主導権を握っているのか。
何故、Aしか知らないはずの情報の正しさが私に判断できるのか。
何故、Aはその情報をこれまでジンにすら隠してきたのか。
浮かぶ疑念は数え上げれば幾つもあったが、だからといってAの話に乗らないという選択肢は私にはなかった。虎穴に入らずんば虎子を得ず、多少の危険を恐れていては得られるはずの利益も逃してしまう。
けれど、もしこの時点で私が、入ろうとしている巣穴には虎の子ではなく牙を剥いた猛虎が身を潜めていることを知っていたなら、選択はまた違っていたのかもしれない。
残念ながら、私がそのことに気が付いたときにはもう、大虎があんぐりと口を開いて待ち構えていたのだけれど。
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櫂渦【とーか】(プロフ) - チャパさん» 嬉しすぎるお言葉、ありがとうございます！！マイペース更新にも関わらず追いかけてくださっていること、本当に嬉しいです。これからもお気の向く限り、男主の人生にお付き合いいただけますと幸いです( * ･ᴗ･ ) (2023年2月26日 9時) (
レス) id: 7ff0039a36 (このIDを非表示/違反報告)
チャパ - 沢山の作品の中で作者様のジンが1番好きです。飽きやすいので見なくなる作品は多々あるのですが、ずっと飽きることなく読ませてもらってます。前々から思っていたのですがふと好きだなーという感情がわいてきたのでコメントさせていただきました。長々とすいません。 (2023年2月23日 21時) (レス) @page38 id: b567095a1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：櫂渦【とーか】
| 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/users/28997649
作成日時：2022年6月19日 21時
