ツナマヨ、 ページ7
.
そこで真っ先に死に直面したのがAだ。
あいつの専門はスナイパーとか銃、まぁ主に遠距離戦だな。
敵にとっては面倒で厄介だ。
だから一番に狙われた。
4人ともボロボロ。
まともに動ける奴はいなかった。
一気に距離を詰められたAは、死を悟った、って顔をしてた。
私らも正直…、情けねーけど、仲間の死を覚悟した。
だけど、棘だけは違った。
ギリギリの状態で、Aの前に立ちはだかって呪言を使った。
……その反動で、棘はひどい怪我をしてな。
1週間、目が覚めないくらいの。
Aは毎日悔やんでた。
自分ばっかり責めてた。
私が弱いせいだって、泣いてた。
あいつは小さい頃、目の前で呪霊に父親を殺されてる。
母親もAを産んですぐ……亡くなった。
それで拗らせてんだ。
自分を守って人が死ぬことを、すげー恐れてる。
最初はそんなことなかったんだ。
父親が自分を庇って死んだ記憶を無くしてた。
真希ちゃん真希ちゃんって鬱陶しいくらい笑ってた。
だけど棘の姿を見て、幸か不幸か父親が自分を庇って死んだことを思い出した。
だから、必要以上に関わらないで私らを避けるようになった。
Aを庇って死ぬようなやつが出ないように。
距離を置いて、忘れられようとしてんだ。
仲良くならなきゃ、棘みたいに、父親みたいに命張ってまでAの前に立つやつがいなくなるとでも思ってんだろうな。
……あいつの性格は知ってる。
本当は誰より優しくて、脆いのを知ってる。
今更嫌いになんてなれるわけもない。
それに棘はきっと、今あの日と同じ状況になっても、Aの前に立つんだろーし。
「……ほんとバカなんだよ、あいつ」
独り言のように呟いた真希は、遠くを見つめていた。
.
「……Aさんが悪いわけじゃないのに、」
「…あぁ、そうだよ。だけどあいつはそう思ってない」
「過剰に自分を責めるのって、私は良くないと思いますけどね。……庇った狗巻先輩も傷つける」
「……そーだな、」
「きっとAもそれを分かってる。だから俺たちの前では何にも言わないんだ。棘が目を覚ました日を境に、弱音も本音も何も…、言わなくなった。」
釘崎はなにか言いたげに口開いたが、飲み物を流すことでもどかしい気持ちをすべて飲み込んだ。
.
931人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ノω・、) ウゥ・・・ - 面白かったァ(´;ω;`)後日談求む (2023年4月27日 16時) (レス) @page19 id: 6fd33d2e78 (このIDを非表示/違反報告)
花瓶 - この小説一気読みしました!すごくおもしろいです!!もう真夜中に泣いちゃいました、、、(´;ω;`) (2022年3月19日 23時) (レス) @page19 id: 0f43647906 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - 凛櫻さん» ありがとうございます!素敵だと言っていただけて感無量です!コメント本当にありがとうございました…! (2021年1月23日 22時) (レス) id: 518bab79dd (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - 癒姫さん» わああ泣いてくださったとは…!そう言って頂けてとても嬉しいです!コメントありがとうございました…! (2021年1月23日 22時) (レス) id: 518bab79dd (このIDを非表示/違反報告)
凛櫻 - 完結おめでとうございます!素敵な作品をありがとうございます! (2021年1月23日 14時) (レス) id: c829f486b3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:日向 | 作成日時:2020年12月27日 21時