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『……悔しいなぁ。』
ちょうど、貴方のことを思い出してた、なんて言いたくはないし、気づかれたくもない。
どうしてこんなタイミングが良いんだろう。
気持ちが、決心が弱くなっているときに。
堪えていたものが、溢れてしまう。
もし、このまま電話に気づかないふりをして、貴方からの声に気づかないふりをしていれば、明日からまた日常に戻れるのかな。貴方がいない日常に。
_____また同じ事を繰り返すの？
_____じゃあどうしたらいいのか教えてよ。
_____会いたくないよ、彼になんて。
_____会いたい。
歪む視界で未だに震え続けるスマホを睨み続ければ、私の天邪鬼な気持ちを表すように、着信画面が消えて不在着信１件、と表示される。
……あぁ、切れてしまった。
もういちど、掛けてくれれば、なんて。
ううん、良かったんだよこのままで。
きっと思い出してしまうから、彼への気持ちを。
『もう暫くは独り身かなぁ。』
もし、着信が掛かって来てもわからないようにスマホを鞄の中の奥に仕舞い込む。
これが、私の答えだから。これがきっと正しいから。
『……悲しくなんてないんだから、バカ。』
「誰が馬鹿やねん。」
『………………は？』
独り言に返ってきた声に、言葉に、思わず変な声が出る。振り返ったら、後戻り出来ない気がする。
でも、振り返らない、なんて選択肢は、
．
生憎、私には出来なかったんだよ。
______なんで居るの、ばかぁ!
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ほさと - とても感動しました。占ツクの歌い手様を扱った作品には珍しくしっかりと小説になっていて、一介の読書好きとしても嬉しかったです。どの作品もとても美しい比喩があり、音読したい作品だなぁと思いました。 (2019年7月14日 20時) (
レス) id: fdc2472f82 (このIDを非表示/違反報告)
弓乃 - 皆様の素晴らしい文章に心が震えました。ありがとうございます。執筆お疲れ様でした。これからも頑張って下さい。 (2019年6月17日 16時) (レス) id: d99258de7b (このIDを非表示/違反報告)
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